Chapter2 仲間②

  • 超短編 1,964文字
  • シリーズ
  • 2019年09月17日 11時台

  • 著者:退会済み
  •  「ぐふっ…!」
     「まだやる?」
     「クソが…!」
     そろそろ限界って感じ?
     「メロンパンが欲しかったら、このコンビニにこだわらずにあちこち店を回ってこい。」
     「くそ!覚えとけよ!!」
     …あ、逃げた。
     それにしても…、お店の人に迷惑かけちゃったかな…。


     「すみません、さっきは表で騒いでしまって…。」
     「いえ、大丈夫です。幸い彼もいなくなった事だし…。」
     「とりあえず、お会計お願いします。」



     「若葉~、ただいま~。」
     「う…ん…?」
     巣に戻って若葉を呼ぶと、若葉は目を覚ました。
     まだ眠そうなとろんとした目に、私はちょっと可愛いと思ってしまう。
     「朝食買ってきたよ。ほら。」
     私は買ってきた甘酸っぱレモンブレッドとレモンティーを袋から取り出した。
     「ん…、レモン…。」
     「まったく、相変わらず寝ぼけがすごいんだから…。」
     レモンブレッドを取ろうと、眠い目を擦りながら手を伸ばす。
     物を欲しがる赤ちゃんみたいで、物凄く可愛い。
     本当に、若葉は癒しって感じ。


     「どう?目は覚めた?」
     「うん。レモンのおかげでね!」
     「ふふっ、レモンは若葉の元気の源だね。」
     若葉はいつもレモンを食べるとご機嫌になる。
     なんか、そういう二次元の人物がいた気がする。

     「そういえばお姉ちゃん、殺人事件の件だけど…。」
     「ん?」
     「もうニュースになってるって、知ってる?」
     ああ、なんだ、その事か。
     「それはもう若葉が知る前に知ったよ。」
     「ふぇ?」
     「若葉が起きる前からそのニュースは見た。
     だって若葉その時、猫みたいに寝てたもん。」
     「……///」
     ん?そこは赤面する所なのかな?
     まあいいや。可愛いし。

     「お姉ちゃん、やっぱり大屋を追うの?」
     「…当たり前でしょ?放っておいたらこの歌舞伎町が危なくなるだけだよ。
     そんな場面見るより、自分達で何とかするしかない。私はそう思うよ。」
     「……。」
     大屋の件…あそこで起きた殺人事件が、大屋の目的とは限らない。
     大屋は他にも人を殺すだろう。私はそう考えている。
     あの時私と若葉が挑んだ時も、普通の人間とは思えない動きをしていた。
     あんなのを放っておいたら、たまったもんじゃない。
     「…本当にいいんだね。お姉ちゃん。」
     「ん?」
     「後悔はしない?」
     「……。

     …後悔だったら、やるだけやった後にするよ。」
     「…そっか。」
     「何で?」
     「いや、聞いてみただけ。
     お姉ちゃんがそう言うなら、私は止めないよ。
     でも私も、できるだけお姉ちゃんをサポートしたいから。」
     「…ふふっ、頼りにしてるよ。」
     さて、そうと決まれば大屋を追う所から。
     でもいきなりは無理だから、何か居場所がわかるものがあればいいんだけど…。



     「うぅ~ん!あぁ~…。」
     若葉は外に出ると、大きく背伸びをする。

     …薄々気になってたんだけど…。


     『お姉ちゃん…、結構胸元膨らんだ?』
     『…は?』
     『お姉ちゃん身長も伸びたし、胸元も…。』
     『…ちょっと、それはここで話すものじゃないよ。』
     『えぇ、だって気になるじゃんか。』


     昨日の事を思い出してた。
     「胸元が膨らんだ」…。その言葉で気付いたんだけど…。


     …若葉もそうなんじゃないかな?まだ私のより小さいけど…。

     …て考えたらなんか興h…。

     「ん?お姉ちゃん、どうかした?」
     「え?あ、いや、何でもないよ。」
     「ふぅん…。」
     危ない、バレる所だった。
     昨日その事を話したばかりだから、からかわれる所だった。
     若葉は甘え上手であり、からかい上手でもあるからなぁ…。
     下手したらすぐにからかわれる。うん。
     お姉ちゃんは大変なんです…。



    グシャッ!!
     「!?」

     『う、うわあぁーーーーーっ!!!』
     「何!?」
     「……。」
     どこからか、鈍い音がした。
     街中で叫び声がどこもかしこも聞こえてくる。
     さっきの音が聞こえた方へ行くと、何かで潰れたような死体があった。
     「お姉ちゃん、あれ!」
     若葉が奥の方へ指を差す。

     そこにいたのは、何やら武装した2人組だった。
     「あれは…!?」
     見た感じ、いかにもヤバそうな雰囲気が漂っている。
     1人はハンマーを持ち、もう1人は長刀を持っている。
     多分さっきの死体は、あのハンマーの奴にやられたものだと思う。
     私は、足を前へ運び出す…。
     「お姉ちゃん…?」
     「行くよ。若葉。放っておいたら危険が広がる。」
     「……。」
     もう覚悟は決めている。
     街を守るためなら、死んだっていい。


     「あ?何だてめえ。」
     「さっきの人殺したの、あんたでしょ?」
     「…あ?」
     私は睨み付けながら、彼らにそう問い出す。
     「…やっぱり。そんな事だと思った。
     なら尚更あんたらを始末した方が良さそうだね。」
     「こいつ、何モンだ?」
     「さあな。だが、殺しておいた方が良さそうだ。」
     彼らはそう言うと、武器を構える。

     これは…、鞘から刃を出した方が良い相手かな?

     「お姉ちゃん…。」
     「…普段は刃出してないけど、こいつらは違う。
     あっちが殺す気なら…。


     こっちも同じ手だ!!」

     さあ、やってやろうか。


     死とはどういうものかを味わせてあげるーーー。

    【投稿者: 2: アズール021】

    あとがき

     Chapter2の続きです。中盤辺りで「奈那美ってシスコン?」って思ってる人が多いと思います。大抵の人は「奈那美シスコン説」と考えてる人もいると思いますが、安心してください。全然そんな事ないです。ただ単に奈那美は妹の若葉が可愛いと思ってるだけでシスコンではないです。(真顔)
     とりあえず、続きはまた後日投稿していきます。お楽しみに。

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    コメント一覧 

    1. 1.

      20: なかまくら

      残念、メロンパン男は仲間にならなそうですね。
      ところで、
      >街を守るためなら、死んだっていい。
      というくらいの覚悟、どこから来たのか気になりますね。