その日は好きだった女の子と一緒に遊んでいた時だった。
真っ赤な夕焼けが綺麗な日だった。
気がつくと、僕の小さな手の中には
木箱が乗っかっていた。
その箱は空っぽで、何も入っていなかった。
ふと、顔を上げると、女の子の手の上にも木箱が乗っていた。
大好きな君の箱には、綺麗なものが沢山詰まっていた。
きらきらきらり、夕焼けに照らされて、綺麗に光る。
僕は、女の子に聞いた。
どうしてそんなに綺麗なの?
どこでそれをもらったの?
どうして僕にはないのかな。
何故だか涙が止まらなかった。
すると、その子はこう言った。
あら、何を言ってるの?
あなたも持っているじゃない!
とっても綺麗な宝石を!
可愛い笑顔で言われて気づく。
しっかり握っていた箱の中を見て、
僕はとっさに驚いた。
箱の中には色とりどりな綺麗な色。
きらきら光る宝石たち。
君にもらった、素敵な素敵な宝物。
あとがき
小さい頃って、色々なことを学びますよね。優しさだったり、思いやりだったり、遠慮だったり、愛情だったり。
自分が得てきたものはどこで誰が教えてくれたのでしょうか。教えてくれた人を覚えてくれているでしょうか。教えた人は自分のことを覚えているでしょうか。
その人が分かった時は、ありがとう、と言いたいですね。
コメント一覧
夢の中での出来事でしょうか。
流れは、
1.女の子は持っている。
2.主人公は持っていない。
3.主人公は悲しくなった。
4.気づいた女の子が、主人公におすそ分けした。
5.主人公は女の子に感謝。
でしょうか。
持っている者、持たざる者。
持っている者は、持たざる者に与える。
これが出来ると人類みな幸せになりそうですね。でも実際には、自分や子孫の将来のことばかり考えて、持たざる者には与えず、貯蓄したりしそう。
さて、本作、「あとがき」を読ませていただいて、本作で言うところの木箱の宝物とは「財物」ではなく「学び」なのかな、と思いました。
「学び」は、自然には覚えることは難しく、親や学校の先生や書物などから教えてもらい得るもの。
おっしゃるとおり、自分の人間形成において、大切なことを教えてくれた方々なのだから、感謝しなくてはなりませんよね。
今のところ、礼儀や道徳や気配りなどの「学び」に関しては、しっかり伝承されているように思います。良い面ですから、次世代に引き継いでいきたいです。
最初から持っているんですよねぇ
最後まで光が当たらずに、死んでいくこともあるんだろうなと思いました。
歌詞のような物語ですね。