ダッダッダッダッダ・・・
廊下をけたたましく走る音が聞こえる。
(そうか、あいつが帰ってきたのか・・・)
私こと、赤坂道寺は向かい合っていたパソコンをスリープモードにすると、席を立った。
隣の女性に向かって一礼をする。
その女性は微笑みながら、私にこう告げた。
「良かったですね。」
私も頬を緩めるとニヤリと表情をもって返信をした。
さぁいこうと、踵を返してキビキビ歩こうとした時だった。
周りを見渡すと、皆が私に向かって微笑みの眼差しを向けている。
その光景に胸を打たれながらも浅く一礼だけすませて、ドアを開けて廊下へ出た。
私は音とは反対の方向に体を向けると、光がやさしくともった右手を天井に向かって大きく掲げた。
ダッダッダッダッダ・・・
ダッダッダ・・・
ダッ
・・・
私の背中を前に音がピシャリとやんだ。
「せんせ、先生・・・ただいま。」
私はゆっくり踵を返すと、彼女を確認して丁寧な口調でこう告げた。
「おかえり。よく頑張ったな。お疲れ。」
長い間せき止められていたであろう、彼女の中に潜んでいるダムが私の言葉をきっかけに崩壊した瞬間だった。
彼女はただ静かに刻々と泣いた。
私は、そんな彼女を抱きつくほどの気概を持ち合わせてはいないので頭を愛らしく撫でてやることしかできなかった。
私は次第に、あふれてくる感動を涙という心と現実の架け橋を利用してこの世に感動を具現化させていた。
二人で泣きあっていると、彼女がパチリと目を開けて撫でていた私の手を取りグイっと彼女の手前に引かれた。
私のバランスが崩れて前のめりになると彼女は私にキスをした。
私が慌てて、何かを言おうとすると彼女は私の口を手でふさぎ耳元でこう囁いた。
「キスは、恋焦がれる感情、純粋な衝動を相手に届けることができる架け橋になりえるんじゃない?」
僕は、彼女が何を言ってるか聞き取れないほど慌てていたので彼女からサッと距離をとると彼女にこういった。
「まぁ、いい。じゃあ行こうか。」
「うん。」
二人は手を取り合って、明日の方向に歩き出した。
コメント一覧
あけぼの、は夜明けの空が明るくなってきた頃。
本作は、今まで夜だったが、これから未来にかけて明るくなるぞ、という意味かな。
さて、状況やシーンを読み解く。
主人公の前にはパソコンがある、彼女は廊下をダッダッダと走って来る(幼い?)、彼女は主人公のことを先生と呼んでいる。以上から、場所は学校の職員室で、主人公と彼女の関係は、先生と生徒の間柄と想定。
そうすると、その後、二人は職員室でキスをしていることになる。周りに同僚の職員がいる様子なので、公然でのキスだ。同僚達も祝福している様子。
昨今、よく問題となる先生と生徒の御法度な恋愛話かな。しかし、大っぴらであるところを見ると、認められたものか?
もし、先生と生徒の恋愛が認められるとすれば、大学かな?教授と生徒?
しかし、ダッダッダと廊下を走って職員室に入った来た彼女は印象は幼い。
ココが合わない。
また、冒頭で主人公は、「そうか、あいつが帰ってきたのか・」と心の声があり、終わりには「じゃ、行こうか」と彼女に向かって声を掛け、実際2人は、朝に向って歩き出している。
彼女は一体どこから帰って来たのか?、そして2人は手を取り合いどこに歩き出したのか?、謎過ぎるw
ここらは、読者の想像にお任せする、と言うことかな。
また、彼女が主人公にキスをした際の謎の発言。
大人びていると言うよりも、恋愛の専門家のような、ロボットがキスと言うものを解析した結果のような発言。しかも、キスをしたその相手その人に向かってソレを言うなんて・・空気を読めてないような。
そうそう、そもそも職員室で他の先生らしき人達がいる前でキスをするなんて、モラルがなく、空気を読めていない気がする。
モラルにおいては、一番守るべき必要がある教職員であり、その生徒間である。
はっ、そうか彼女はもしかすると人間ではなく、ロボットなのかな?なので他の先生達も二人の恋愛を認めているのかな?
と想像してみたり。
しかし、この想定でもって、シーンを想像すると、ストーリーとマッチングしていない気がする。シックリこないのである。
なぜなら、最期、主人公と彼女は明日に向けて歩き出している訳で、結婚でもするのかな?と思わせる記述があるからだ。題名も、あけぼの、なので二人の明るい未来かなと。
となれば、流石にロボットとは結婚しないだろうと、思うからだ。
本作の面白いところは、
アレレ?妙だな?話が合わないな?
と感じさせることでした。
楽しかったです。
謎めいていますよね。>光がやさしくともった右手を天井に向かって大きく掲げた。
何故光る・・・。先生というのが、学校の先生とは限らないわけで。
ううーーん、面白いところはけにおさんに同じく。ただ、真相は分からない。
2作品のうちだとこっちの方が好きですね。