XDark:matter

  • 超短編 3,148文字
  • シリーズ
  • 2017年06月21日 23時台

  • 著者: 秋水
  • 1人頭を抱えて悩んでいることが君にはあるだろうか。
    僕には、ない。
    だって僕には何だって相談できる友達が居るんだ。
    けれど、そんな友達が居ない人が居ることも僕には分かる。
    以前の僕がそうであったように。
    1人で頭を抱えて悩むことを悪いこととは思いたくはないのだけれど、あまり良かったためしがない。
    思考は熟されるものの、考え方を深めるばかりで不用意に周りと溝ができてしまう。
    其の溝は、やがて大きな境界線となって他者との交わりを遮断させる。
    だから、何が言いたいかというと1人で考え込むことは得策じゃない。
    そして、友達を作るアドバイスを僕が悩めるあなたに提供しよう。
    恩を売っているのではなくて、此れは自らのためにやっていることなので、巻き込まれた方は暫し僕と戯れていただきたい。
     
     紹介が遅れた。私の名前は、春山夢道、はるやま ゆめみちとよむ。割と珍しい名前ではないだろうか。
    現在、東京のとある大学に通って日々研究に明け暮れている。何の研究かと、詳細は言えないのだが、いずれ人類の役に立つであろう研究であることと私は信じてやっている。
    今年で、そんな大学の3階生となる21歳の何処にでもいる学生だ。ちなみに、性別は男性。
    性格は、そうだな。多く仮面を持った怪人二十面相も真っ青といった性格だ。まあ、要するに「私はこういう人間だ」とあんいに紹介することが出来ない、
    誰にでも備わっていると思う多面性というのが少し周りよりも強く表れてしまうのだろう。
    ただ、基本的な性格として、夢見がちで合理的、懐疑的で盲目的。
    一見矛盾をはらんでいるように聞こえるが、その通り矛盾をしている。
    しかし、どちらかが偽物とかそういう訳でもない。
    どちらも本当に兼ね備えているのだから、こう言うしかあるまい。

    では、気になるアドバイスを伝授したいと思う。
    まず、ーーーーーーーーーー以下省略ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



     僕は、そんな変梃なブログを読み終える頃には、すっかり心酔してしまっていた。
    僕の性格にどこか似ている人ということもあって、馴染みやすかったのだろう。
    心の憑き物がどっと洗い流されて精潔な心になった気分だ。
    よし、此処に書いてあることを実際に行ってみよう。大丈夫、僕なら出来る。
    高羽白(たかはね はく)は、PCをつけたまま椅子を移動させて隣の学習机に移った。
    白は、引き出しからノートを取り出すと熱心に書き始めた。
    タイトルは、「為すべきコト」。
    白は、書き終わると深呼吸を2度してベッドへ向かった。
    明日から、実践するんだ。
    部屋とPCの電気を消し忘れたと気付いたのは、眠りに落ちたのとほぼ同時だった。

    その日、白は夢を見た。
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー以下夢の話

     白は見知らぬ綺麗な女性と散歩をしていると、草原で変な柄をした猫を見つけた。
    猫に近づこうとすると、隣にいた綺麗な女性が白を引き留める。
    白は其んな女を蹴飛ばすと、もう一度猫に近づこうとするその時だった。
    猫がその場から消えていた。
    辺りを見回しても猫は何処にもいなくて、次第に女も泣きながらその場を去った。
     1人になった白は、ニヒルな笑みを浮かべるとまた歩き始めた。
    暫く歩いていると、草原でお昼寝をしている中学生くらいの女子が居た。
    お腹まるだしでパンツ丸見え、よだれを垂らしながら爆睡をしている。
    白は、そんな女子の前に立つと、自らのズボンを下ろしてパンツを脱いだ。
    またもニヒルな笑みを浮かべると、意を決したように女子の衣服を脱がしはじめた。
    ズボン、パンツはスルスルと脱がせたものの、シャツがなかなか脱がせないので引きちぎろうとした時だった。
    女子が目を覚ましたのだ。女子は直ぐさま悲鳴を上げたが、返って白のボルテージを引き上げた。
    白は、一心不乱にシャツを引き千切ると、泣き叫ぶ女子の首を掴んで大地に投げるようにたたきつけた。
    すると、女子は気を失ったのか悲鳴を一切上げなくなった。
    白は、女子のブラジャーを捲りあげて、鳴かなくなった女子に対して苛立ちを感じたのか女子の頬を平手で殴った。
    反応がなく瞳孔が開いていた。白は溜息をつくと、死んだ女子の股間を擦りながら自らのイチモツをしごいた。
    白は、射精を迎えてしごき終わるとパンツとズボンを履いてその場から立ち去った。
     訳もなく、無心にぶらぶら歩いていると人で賑わう街に着いた。
    其処に、白の目を引く光景があった。
    先ほど、蹴飛ばした女性が見知らぬ男性と手を組んで歩いていた。
    白は、見知らぬ男性に飛びかかると狂ったように殴った。顔がグチャグチャになった男性を置いて、蹴飛ばした女性の手をとってその場から去った。蹴飛ばした女性は歩きながら何かを必死に白に伝えているが、白の耳には届いていなかった。
     暫く歩いていると、また草原に戻ってきた。
    そして、先ほどの変な柄をした猫を見つけた。
    変な柄をした猫に引き寄せられるように歩みを伸ばすと、蹴飛ばした女性が白をまたも引き留めたので「邪魔をするな!」と狂気的に殴りつけた。白は気付いた。
    (なんだこの、既視感は・・・)
    ゾクゾクしながら、殴った女性から猫の居た場所へ視線を動かすと、やはり其処に猫は居なかった。
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー以上夢終わり

     なんだったんだろう、今日の夢は。白は、起きてからも暫く今日見た夢の内容について考えさせられていた。
    女性を蹴る殴る感覚も、女子の身ぐるみをはいで地面にたたきつける感覚も、全て鮮明に残っていたからだ。
    なんだろう、すごく虚しい。
    心を抉り取られたようにスカスカで何も無い。
    本当に何も無いわけではなくて、何か重鎮のようなモノが胃に居座っている。例えて言うなら"ダークマター"。宇宙に存在するとされるダークマターと同様に、存在しているのだが何も無い。
     白は、怨念に取り憑かれたような虚ろな顔のまま自分の部屋を出て、洗面所へ向かった。
    洗面所に着くと、鏡も見ずに蛇口を捻った。
    バババババババババ
    勢いよく水が出てくる。白は、そんな水を眺めていた。
    水になりたいな。
    暫くすると、白は水を両手で掬って顔面にぶつけて擦りつけた。
    同じ行動を4度繰り返したところで、蛇口を捻って水を止めた。
    側にかけてあるタオルを掴んで、自らの顔面を拭った。
    鏡をむくと、虚ろな目をした普段より不細工な自分がいた。そんな自分を見て何を思ったのか、白は鏡に向かって右手で殴りかかった。
    バリィィィィィィッ
    嫌に甲高く重い音が鳴り響いた。
    鏡をなす硝子には殴った所を中心として只ならぬ亀裂が生じていた。白の拳は、力の反作用が原因なのか硝子が突き刺さったのか血が流れていた。白は、自らの拳をみるとニヒルな笑みを浮かべて、もう一度只ならぬ亀裂の入っている鏡を同じく右手で殴った。
    パァアアアアン
    今度は何かが破裂するような軽い音が鳴り響いた。
    鏡は割れて破片があたり一面に飛散した。
    「うがああああああああああ」
    白は叫ぶと、血だらけになった拳を手で押さえながら泣いた。
    意を決したように、立ち上がると側の棚に置いてある眉毛処理ようのカミソリを手に取った。
    血が流れている右手を前に出すと手首めがけて刃をいれた。
    キシュッ
    肉を抉ったのか、変な音がした。
    ドクドクと自らの手首から流れる血を眺めてショックの余り意識が朦朧としてくるのが分かった。
    慌てて水道にタオルをつめて蛇口をひねって水を出した頃には、白は倒れていた。

    そういえば、PCの電気と部屋の電気つけっぱなしだ。

    白は目を閉じると、もう二度と覚めることのない眠りについた。

     次第に、出しっ放しの水が溢れて地面にまで流れてきた。流れてきた水は、生きているかのように散らばった硝子と倒れた白の隙間を血液と混ざりながら流れていった。

    【投稿者: 秋水】

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