音速のクワガタ 後編

  • 超短編 549文字
  • シリーズ
  • 2017年04月23日 01時台

  • 著者: ことは


  • 目の前に現れたクワガタは凄まじい羽音を立てながらこちらの様子を伺っている。
    そのときがチャンスだったんだ、時すでに遅し。真空パックから解放されたことへの歓喜の舞を踊るクワガタを前に為すすべはなかった。四畳半を高速で暴れまわるクワガタにバーナーの炎は届かない。勢い余って投げた槍……じゃなかった、ハサミは窓の向こうへ飛んでいった。窓……?しまった、窓が開いている。嫌な予感が走る。「開封後は的確に対応してください」という注意書きが脳裏に浮かぶがパニックが勝つ。どうすれば………奴は顎を開閉させるたびにクワガタはどんどん速くなり巨大化していく。あぁ、巨大化したクワガタ、たくましい脚だ、あの瞬間バーナーで焼いておけば美味しく頂けただろうに。
    思考が停止した瞬間、ボロアパートの屋根が崩れた。窓から出る際に天井まで持っていかれた。クワガタはどんどん速くなっていく。ブブブブブが徐々にキィィィという音へ変わっていく。街中から悲鳴が聞こえる。ふっふっふ、社会め、ざまあみたか。


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    「臨時ニュースです。今日夕方、謎の未確認生命体が東京上空を音速で飛び回り、大気圏外へ飛び去るのを確認されました。NASAから、未確認生命体は宇宙空間でも徐々に大きくなっているとの情報が入りました。引き続き確認を急いでいます」

    【投稿者: ことは】

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    コメント一覧 

    1. 1.

      1: 9: けにお21

      先日、深夜遅くにやっていたのはコレだったんだw

      怪物を創り出していたのですか❗️