突然家にやってきたスーツの人々、令状を読み上げる声、母が妹を抱きしめるのを横目に、私は難解な法律用語を理解しようとただ立ち尽くしていた。父はただ二三の言いつけを残して、連れていかれた。
彼は記者だった。
彼の頬がやつれていたのは、きっと、捜査員たちの目には「罪悪」の証としか映らなかっただろう。取材で得た情報を悪用して金をむしり取る脅迫者。私も一時はそうだと信じていた。
ペンは剣よりも強い。その言葉は本当だった。民衆が剣を持っても逮捕されるだけだが、ペンがあれば強者の罪を糾弾できる。
頬に押し当てた金属の感触が、私の心を冷やしてゆく。
私もペンを握るべきだったんだろうか? 父と同じように、「正しいやり方」で戦って、正しい方法で勝利を目指すべきだったんだろうか。
ペンは剣よりも強い。それは本当だ。権力者はそのペンで、ありとあらゆる罪を描き出せる。
妹のことを思い出す。
やめろ。
それは感傷だ。
やつが壇を上り詰める。こちらを向いて、微笑んだ。
憎悪が胸に迫る。銃声。音速の鉄槌が銃身からほとばしり出て、悪を撃った。