夢老い人

  • 超短編 408文字
  • 同タイトル
  • 2017年05月04日 14時台

  • 著者: 1: 9: けにお21
  • もちろん、結婚し、子供をもうけ、孫の面倒を見て、自分が築いた家族に看取られながら他界する。平凡だが暖かな生活に憧れない訳ではなかった。

    しかし、私は夢への障害になる邪念として、その暖かな憧れを振り払ってきた。夢に全精力を注ぎ、夢に私の人生を賭けたのだ。

    今、私は病床に伏し、私と言う幕を閉じようとしている。きっと誰にも看取られる訳ではなく、寂しい幕引きになるはずだ。

    夢破れ、家族もなく、何もない。

    「無駄に人生を送ったのか?」

    結果論だが、夢よりも、自分の幸せために生きたほうが良かったのかもしれない。私は生き方が下手だったのかも知れない。

    一生は一度きり、悔やんでも過去に戻りやり直すことは出来ない。

    しかし、私は思うのだ。所詮は一人の人間として産まれ、しばらく生きて、死ぬだけのこと。

    ただそれだけのことであり、大したことではない。騒ぐ程のものではない。

    翌朝、この老人は息を引き取った。

    その死に顔に一点の曇りもなかったと言う。



    【投稿者: 1: 9: けにお21】

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    コメント一覧 

    1. 1.

      1: 3: ヒヒヒ

      価値観が多様化した今、「どうすれば一番いいのか」を決めることは容易ではないので
      結局、「自分が満足できるかどうか」にかかっていて、
      大事なのは、どうすれば満足できるのか考えること、なのかな、と思いました。


    2. 2.

      キノ

      いつもは冗談めいてるけにおさんが、こんな小説をかくとグッとくるものがあります。わたしも同タイトル書こう。


    3. 3.

      1: 9: けにお21

      ☆ヒヒヒさんへ
      コメントありがとうございます。
      「どうすれば一番いいのか?」ではなく、「どうすれば満足できるのか?」と考えること。
      客観的に自分を眺めて良し悪しではなく、主観的にどうなれば満足できるか、ですね。
      なるほど、そう思います。
      小説も、「良い作品を書くぞ!」と人の目を意識すると書けないが、「自分が楽しめる作品を作るぞ!」または「祭りで、他人の目を欺くぞ!」とワクワク・ニヤニヤしながら書くと、意外に書けるものですものねw
      人生も同じで、自分が楽しめて・満足できる生き方を迷わず歩むことができれば、それが答えなのかもしれません。
      さすがヒットメーカーヒヒヒさん、助言ありがとう!!
      そのように生きていきます!

      ◆キノさんへ
      コメントありがとうございます。
      僕の基本は、日記または私小説です。
      本作にも、部分的に自分を投影させました。
      この先どんな道を歩もうか、考えている最中なのです。
      おお、是非是非同タイトルちゃれんじしてくだされ!


    4. 4.

      3: 茶屋

      自分の作品を投稿してから読んでいますが
      少し私の作品の別のルートみたいな感じがして(勝手に思ってるだけです、すみません)
      少し感慨深いです。


    5. 5.

      1: 鉄工所

      自分を生きる
      とても大切な事だと思いました。

      此処だけの話、家庭や家族は
      「オマケ」見たいなもので…

      もっと大きく生きていいんだと思います。


    6. 6.

      1: 9: けにお21

      茶屋さんへ

      読んでいただき、ありがとうございます。
      茶屋さんのは、死後に、宇宙へと向かう老人の夢。
      僕のは、生前に、夢を追いかけ、死ぬ老人。
      共通点は夢を捨てず重要視していることで、相違点は生前か、死後かの違いですね。
      ルートは異なれど、共通点である、男にとってロマン(夢)は大事、ってとこは一緒。
      これからも、ロマンを追いかけていきましょう!


    7. 7.

      1: 9: けにお21

      鉄工所さんへ

      読んでいただき、ありがとうございます。
      此処だけの話ですねw
      偏見かも知れませんが、女性は現実的です。
      男性は、アホです。
      僕は、男性のアホさを愛し、女の現実主義に頼って生きています。