夢老い人

  • 超短編 273文字
  • 同タイトル
  • 2017年05月07日 20時台

  • 著者: キノ
  • わたしは、夢追い人だった。

    妻をなおざりにして、夢を追いつづけた。

    時に、妻を罵倒したこともあった。

    なぜ、そんなに夢ばかり追い求めるのか、と侮辱する妻にひどく苛立った。

    現実ばかりに囚われる妻を、愚か者だとさえおもった。

    夢を追いかけること。

    それは、とても誇らしいことだと信じてやまなかった。

    けれど、気づいた。

    老いて、そして、妻を失ってようやく気づいた。

    愚か者は、他でもないわたしだった、と。

    理想ばかりを追いかけて、目の前にある最も大切なものをないがしろにしてきた。

    なんと憐れで情け無いことよ。

    亡き妻よ。

    わたしは、なんと詫びれば良いのが分からない。

    妻よ。

    【投稿者: キノ】

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    コメント一覧 

    1. 1.

      1: 9: けにお21

      家族か、夢か?

      キノさんの答えは、家族ですね!
      家族取らないと後悔するよ、って一例。

      ヒヒヒさんの僕へのコメントによれば、満足できることをせよ、と。

      家族を大事にすると満足か?
      夢を追いかけると満足か?

      結局、その人の気持ち次第と思う。

      普通、
      無難は家族で、
      チャレンジャーは夢になるのかな?

      両立させるのが一番良いのだが。


    2. 2.

      キノ

      けにおさん!コメントありがとうございます!家族を大切にするか。夢を追いかけるか、どっちが正しいかなんてわかるはずもないけれど、バランスを取るのってやっぱり難しいですよね。歳をとればとるほど、困難になっていく気もする。。そういう意味で両立している人ってすごい。ちなみに、わたしは小説と家庭、両立あんまりできてません。。


    3. 3.

      ミチャ寺

      夢を追いかけるのは美しいこと、しかし、夢に固執するのは悲しいこと。どちらも正しいが故に、自分にとって夢を追うか捨てて現実に生きるか、という選択はどちらかを失ってからではないと答えにたどり着けないものですね。


    4. 4.

      3: 茶屋

      妻がどう思っていたのか、それが気になります。
      もしかしたら反対しながら文句をいいながらそんな夫を愛していたのかも


    5. 5.

      キノ

      ミチャ寺さんと茶屋さん!コメントくれてたのですね。ご無沙汰です。最近ここに来てなかったー…同タイトルくらいは参加したい!