【声劇台本】空が綺麗だ!

  • 超短編 1,133文字
  • 恋愛
  • 2021年06月21日 20時台

  • 著者: でんでろmk2
  • 男:空が綺麗だなぁ。

    女:……月が綺麗とは言って下さらないんですね。

    男:えっ? あ、あぁ~! 空全体が綺麗だと思ったものだから……。

    女:分かってます。あなたはいつもそう……。あなたの見る世界はいつだって大き過ぎるんです。

    男:いや、俺なんかつまらない……。

    女:許しません! あなたという人間を悪く言うことは、あなた自身であっても許しません!

    男:ええ?

    女:たとえ恐竜が相手だって、噛みついてやるって、決めたんです。

    男:それは、おっかないなぁ~。

    女:なにが可笑しいんですか?

    男:いえ、別に。

    女:笑い、こらえてるぅ~。

    男:すみません。

    女:もぅ。

    男:唐突なんですけど。

    女:はい?

    男:月が綺麗です。

    女:え?

    男:もう、綺麗で綺麗で仕方がありません!

    女:えええ~?

    男:以上。

    女:わ、私だって!

    男:はい?

    女:負けず劣らず、ずっとずっとずーーーーっと前から、月が綺麗でしたっ!

    男:ありがとう。

    女:もっと驚いて下さいっ!

    男:ありがとうっ!

    女:ふっ、「ありがとう」って言って、驚く人なんて、いないでしょう?

    男:そうだね。

    女:あれ? 今、ここの家の窓、開いた?

    男:走ろうか?

    女:え? ちょっと? 待って! ズルい!

    ト書き:間を開ける。

    男:あのさ?

    女:なに?

    男:カレー、作れるようになった。

    女:カレー、作れなかったのよねー。

    男:ちゃんと、食べれるよ。

    女:我慢して、食べてない?

    男:大丈夫。おいしいから。

    女:ホントにぃ?

    男:だからさ。

    女:うん。

    男:カレー……食べにおいでよ。

    女:いい……けど?

    男:それで、俺、カレーはすごく大量に作って1週間くらいはカレーを食べ続けるんだ。

    女:へ、えー、え? だから?

    男:だからさ。金曜の夜にカレーを作って、そこから、土曜、日曜とカレーを食べ続けよう。

    女:はい? え? 金、土と、お泊り?

    男:うん。

    女:え? それ、お母さんには、なんて言うの?

    男:そりゃあ、「金曜日の夜にカレーを大量に作って、そこから、土曜日、日曜日と、カレーを食べ続けなければならいので、金曜、土曜とお泊りしますぅ~」って。

    女:「しますぅ~」って? ふふっ。そ~れは、確かに、許すしか、ないわよね~。了解いたしました。

    男:カレーに何入れよう?

    女:何入れる?

    男:豆腐と油揚げと……。

    女:ちょっとちょっと……、それじゃ味噌汁でしょ?

    男:入れない? あ! 味噌汁も作ろう!

    女:カレーなのに?

    男:いや、俺の親父、味噌汁、大好きでさ。飯がなんでも、毎日、味噌汁付きで、カレーの日でも、味噌汁付きだったんだ。

    女:じゃあ、お味噌汁も作ろう! 豆腐と油揚げと、長ネギも入れよう! お鍋は足りる?

    男:足りる。

    女:駅に着いたね。

    男:家まで……。

    女:送ったら、あなたは、どうやって帰るのかなぁ?

    男:気を付けてね。

    女:うん、じゃあ、週末。

    男:うん、週末。

    【投稿者: でんでろmk2】

    あとがき

    カレーに豆腐と油揚げを入れる、は私、実際にやりました。毎日、味噌汁が出て、カレーでも味噌汁、はカミさんの実家です。

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