Chapter4 血戦④

  • 超短編 2,367文字
  • シリーズ
  • 2019年12月26日 15時台

  • 著者:退会済み
  • 《奈那美視点》
     「はぁ…!はぁ…!」
     「どうだ?姉貴!」
     慌てて外に出て、息が荒くなった。

     「若葉!!」
     辺りを見回して若葉を呼んでみる。が、若葉の姿がどこにもない。
     「若葉…、どこに…。」
     「落ち着け、姉貴!きっとどこかにいるはずだ!」
     「だといいけど…!」
     若葉は、私の大切な家族。
     それがどこにもいなければ…、私はまた家族を失う事になる。
     もうそれはしたくないって決めたのに…。


    ♪~
     「…!」
     突然、私のスマホの着信が鳴った。


     画面には、「松浦若葉」と書いてあった。
     「…若葉…!?」
     とりあえず私は、電話を掛けてみる。
     「若葉!どこにいるの!?」
     私はスマホを耳に当て、話しかける。


     が、声の主は若葉ではなかった。


     『…松浦奈那美、さっきぶりね。』
     「…!あんた、まさか…。

     大屋…!?」
     そうスマホから聞こえる声の主は、大屋佐江子だった。
     「あんた…!妹に何してるの!?」
     『そんな怒らないで。ちょーっと借りてるだけだから。』
     「はあ?借りてるって、監禁してるんだろ!?」
     「若葉を監禁だと…?」
     間違いない。
     若葉がいない理由は、大屋が捕まえたからだ。
     くそ!何であの時気付けなかったんだ!
     「大屋!あんたはどこにいるの!若葉は無事なんだろうね!?」
     『さーて、それはどうかしらね。縄で縛ってるのは間違いないけど♪』
     「お前…!!」
     『何よ、そんなドスの効いた声して。せっかくの可愛い声が台無しよ?』
     「黙れ!!お前は今どこにいる!!」
     『あんたがこの前訪れた殺人現場にいるわ。もう知ってる場所でしょ?』
     それは、涼介が仲間に入る前に訪れたビルだ。
     今でも覚えてる。
     「…わかった。でも、若葉に手を出したら許さないから。」
     『はいはい、妹ちゃんの心配より自分の心配したら?
     でも助けに行くなら、ちゃんと死ぬ覚悟持ちなさいよ。』
     「…言われなくてもわかってる。逃げんなよ。」
     私はそう告げて、電話を切った。
     「…姉貴、俺も行くぜ。」
     「うん。そうだと助かる。」
     「若葉は俺の大事な仲間だ。そんな奴が監禁されたら、黙ってられねえよ。」
     「ああ。そうだね。とりあえず付いて来て。現場まで案内するから!」
     私は涼介と同行し、大屋のいる殺人現場のビルまで走り出した。



     「ここだよ。大屋はここにいる。」
     大屋が事件を起こしたビルに辿り着いた。
     「結構高えな。こん中に大屋がいるって訳か。」
     「大屋はそう言ってた。行くよ!」

     若葉、待ってて。今助けに行くからーーー。



    バンッ!
     勢いよく出入口の扉を開ける。
     「松浦だ!」
     「西園寺もいるぞ!」
     どうやら待ち構えていたみたい。
     でもこっちも準備万端。
     「姉貴。」
     「ああ。わかってる。


     行くぞぉっ!!」
     私は斬裂刀を構える。

     1人残らず始末してやるーーー。



     「姉貴、まだ奥にもいるみてえだ。」
     涼介の言う通り、大屋軍の手下達はまだまだいるみたいだ。
     「大丈夫。やる事はただ一つだから。」
     「へっ、行くっきゃねえよな!」
     もう一刻も早く若葉を助けないと、若葉に危険が迫るだけだ。
     薙ぎ倒しながらも、全速力で駆け抜ける。



     「あそこの扉、守衛がいるみたいだな。」
     「…となると…、あそこに大屋と若葉が!」
     守衛があの扉の近くにいる。
     あそこまで走り出そうとしたその時…。

     「待ちやがれ松浦!西園寺!!」
     「くそ…!」
     この、肝心な時に…!
     「姉貴、先行け!ここは俺が食い止める!」
     涼介は私の前に立ちはだかり、後ろから追っている手下を止めようとする。
     「でも…!」
     「いいから先行けっての!若葉は姉貴の大切な家族だろ!?」
     「……。」
     涼介の身も心配だけど、ここは言う通りにするしかない。
     「…わかった。死ぬんじゃないよ。」
     「言われなくてもわかってる。」
     私はそう告げ、涼介を置いて守衛の所へ向かった。


     「おいてめえらぁ!!てめえらの相手はこの西園寺涼介だオラァ!!!」


     「あ?てめえは…、松浦!?」
     「あんたらが守衛頼まれてるって事は、大屋はここにいるんだね?」
     「ふん、確かにいるけどよ…。佐江子様の邪魔はさせねえぜ?
     今すぐぶっ殺してやる!!」
     2人相手なら、斬裂刀を使おう。

     無数の血が飛び散る中、私は手下を斬る…。

     斬るーーー。


     斬りまくる!!



     …ここまで来れば、ちょろいもんだよ。



    バンッ!
     扉を開けた先は、だだっ広い大部屋。
     ここは…、飲食ルームだろうか。
     沢山の椅子やテーブルが並べられている。

     「…!若葉!」
     奥には若葉がいた。
     真正面からは見えないが、手首を縄で縛られてるみたい。
     「ん…、…!お姉ちゃん…!」
     若葉はゆっくりと目を開け、私がいる事に気付いた。
     「え…?何これ…。私、縛られてる…?」
     「大丈夫、今助けるから。」
     若葉は、気を失ったまま大屋に連れて行かれたのだろうか。
     そう思いながら若葉に近付こうとした時だった。


     「あら、もう来てたのね。松浦。」
     「…!」
     声のした方へ向くと、大屋が姿を現した。
     「西園寺は?一緒じゃないの?」
     「そんな訳ないじゃん。
     あんた、何は考えてるの?妹を監禁させて。」
     「別に監禁した訳じゃないわよ。ただあんたの妹の目を瞑った顔が見たかっただけ♪」
     「嘘つけ!あんたの考えてる事はもうお見通しなんだよ!
     そうやって私の見えない所で、こっそり妹を殺そうとか考えてたんだろ!?」
     私は、絶対に妹をこんな目に遭わせたくなかった。
     私は、両親を失った身だ。
     ましてや妹まで失わせる訳にはいかない。
     「はぁ…。あんたみたいなのはすぐに口止めしないとダメね。
     妹を返してほしかったら、まず私を止めなさい?」
     「…言われなくてもわかってるよ。そんなの。」
     「ただ、今回はうまくいくかしらね?」
     大屋はそう言って嘲笑うと…。

    ジャキンッ!
     「…!」
     大屋はなんと、ショットガンを所持していた。
     今回は刃物じゃないのか。
     「今回はこれで殺してあげる。」
     私は迷わず、鬼薙刀を構えた。
     「あんたの何もかもに…、


     …風穴を開けてあげる!!」

     さあ、ショットガンを所持した大屋はどのくらいの強さなのか。

     受けて立ってやる!

    【投稿者: 2: アズール021】

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