Chapter3 暗夜②

  • 超短編 1,407文字
  • シリーズ
  • 2019年10月24日 00時台

  • 著者:退会済み
  •  チーム名を決めた後、私達は巣から出る。
     下水道の水が流れる音が響き渡る。
     「とりあえず今の松浦軍は、大屋と繋ぐものを探り出せばいいだけだよな?」
     「できればそうしたいね。」
     「繋ぐものっつったら…、大屋が残しそうなものか何かか…。」
     まあ繋ぐものって言っても、まともな証拠がなければ意味がない。
     「まあここで考えていても仕方ねえ。外出て探ってみるか?
     もし奴らが来たら倒してもいいし。」
     「まあ、そうだね。早いとこ終わらせよう。」
     そう言って、私達は外に出た。



     かれこれ数分。
     裏路地に行ってみても、何も見つからないまま。
     「どっかに足跡残してねえかな?」
     「それっぽいのが見当たらないね…。」
     足跡なぁ…。
     本物の探偵だったら、それをすぐに見つけられるのかもね。
     そうこうしているうちに、私はある事に気付く。

     「…ねえ、気のせいかな?」
     「んあ?」
     「何か…、じっと見られてる感じがするんだけど…。」
     薄々だが、目の見えない何かに見られてる感じがする。
     若葉や涼介も、辺りを見回してる。

     これはもしや…。


     「おぉーーー!!」
     「!?うおっ!?」
     咄嗟に上を見上げた。
     誰かが雄叫びを上げ、何かが降ってくる。

     「あいつら…!」
     「だよね。奴らは…。」
     そう。私も誰なのかわかった。


     大屋軍だ。しかも2人。
     「まさかとは思ったけどな…。」
     「覚悟ーーー!!」
     奴らから殺気立つオーラが漂ってくる。
     じっとしていられない。ここを早く安定させないと!



     「ぐっ…!くそ…!」
     「まだやるか!?あぁっ!?」
     3対2では流石に奴らは敵わないだろう。
     それくらい余裕だった。
     主将である大屋が一番手強いって事かな?

     「ったく…、どこにいても油断できねえな。」
     「安心するのはまだ早いよ。大屋軍はあと何人いるかわからない。」
     「それじゃあ、あと何十人はいるのかな…。」
     「最悪の場合そうなのかもね。だから気は抜かないでね。」
     大屋軍はそれほどの人数がいると思う。
     いつどこで遭遇するのかもわからない。
     災害と同じだ。
     「行こう。」



     それから長時間探索したけど…。
     「ろくなもん見つかんねえな…。」
     涼介の言う通り、大屋と繋ぐものがまだ何一つ見つからない。
     どこかに隠し持ってるのだろうと考えられる。
     「もしかすると、大屋は歌舞伎町にいないとか?」
     「そんな感じもするね。」
     うーん、考えにくいけど、その可能性もありそう。
     まだまだわからないものだらけだ。
     「もうこの際、二手に分かれて探すしか……。」
     その瞬間、私は気配を感じた。


    バンッ!
     「…!あっぶな!?」
     銃声が聞こえた。
     気のせいじゃない。本当の音だ。


     「…勘がいいな。やっぱ凄腕は甘くねえな。」
     その声は男だ。
     「…あんたは?」
     「俺か?俺はな…。


     黒沼絢人(くろぬま あやひと)だ。よろしく頼むぜ。」

     「…黒沼?」
     その男は、黒沼と名乗った。
     見るからに怪しい感じがする。
     すると、涼介が口を開く。


     「あいつは…、大屋軍幹部だ。」
     「大屋軍…幹部…?」
     「こいつは大屋の2番目に強い。見てわかるだろ?
     銃を持ってる。それに照準力がバケモン並みだ。」
     涼介は、黒沼について話してくれた。
     何故そこまで知っているのだろうか?と思ったけど、それを考えるのは後にしておく。
     「へえ、よく知ってるじゃねえか。
     だがよ、ここにいるのは俺だけじゃねえぜ?」
     「…え?」
     黒沼がそう言うと、私達は辺りを見回す。
     もうすでに、大屋軍が私達を囲んでいた。
     「どうするよ?姉貴。」
     「…そんなの決まってる。


     大勢に囲まれたのなら、その囲いを打ち破るだけだ!」

    【投稿者: 2: アズール021】

    あとがき

    ~登場人物紹介~
    西園寺涼介(さいおんじ りょうすけ)
     格闘技が得意とする青年。17歳。荒くれ者であり、奈那美と初対面の時は敵対視するが、戦っていくうちに信頼を得るようになる。
     奈那美との戦いで二度も敗られた後は、完全に奈那美や若葉の仲間に加わった。

     黒沼の紹介は次回やります。

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    コメント一覧 

    1. 1.

      20: なかまくら

      ナンバー2がそんなさっそく出ちゃっていいんですか!?
      お手並み拝見です。