愛梨の罠1

  • 超短編 1,118文字
  • シリーズ
  • 2017年12月20日 18時台

  • 著者: リオン
  •  鉱山内部を探索していると、隊員が牢屋にいたのが見えた。

     慎太郎「おい、大丈夫か!?」

     隊員「…藤咲か…?」

     慎太郎「待ってろ、鍵を捜してそこから出してやるからな。」

     これも愛梨の仕業だな。

     よく見ると、その隊員は腕が封じ込められており、身動きが取れない状態となっている。

     俺はその場を離れ、鍵を捜した。


     ボタン式の扉を開けると、多数のモールデッドがぞろぞろと現れた。

     慎太郎(…たく、手間のかかる奴等だ…!)

     俺は武器を構え、撃ち抜いた。


     全て倒し終えると、奥にクランクがあるのが見えた。

     もう一つは、歯車。

     何かの部品だろうかと手に取ってみると、側に機械があった。

     俺はこれにクランクと歯車を嵌め込み、作動させた。

     慎太郎「これでいいだろう。」

     クランクを回すと、何かが降りてきた。

     ガラクタが入った箱だ。

     すると…。

     『グギヤアァァアッ!!』

     奥から何かが迫ってくる。

     さっきのモールデッドより遥かにでかい、太った敵だ。

     慎太郎「こいつは一体何だ!?」

     本部『わかりません、新型のようです。十分注意してください!』

     これも愛梨が作り出したのだろう。

     やむを得ず俺はそいつを撃ち抜く。


     が…。

     『警告:高再生能力のため、攻撃無効。』

     本部『この白い新型は異常な再生力を持つようです。普通の銃弾では殺せません…!』

     どうやら攻撃は効かなかったようだ。

     何度撃っても、その傷はすぐに消えていった。

     慎太郎「…ならどうすればいい…!?」

     本部『再生を阻止するラムロッド弾があればいいのですが、今は撤退してください。』

     ラムロッド弾か…。

     今はそんな優れた弾は持っていない。

     俺はその場から離れた。


     すかさず牢屋の鍵を見つけ、俺は隊員の所へ向かった。

     慎太郎「もう大丈夫だぞ。」

     隊員「これが奴の狙いだ…。俺はエサだ…。あんたは罠に掛かった…!」

     慎太郎「…何…?」

     隊員の様子が変だった。

     罠だと?

    プシュウゥ…

     牢屋の中からガスが吹き出してきた。

     これは…E型特異菌だ…!

     慎太郎「!?…くそっ…!」

     隊員「俺のマスクの…フィルターを使え…!早く!」

     慎太郎「それじゃお前が…!」

     隊員「いや、いいんだ…。どうせ助からない…。」

     もう、諦めかけていた。

     愛梨『そいつの言う通り!よーく見てなよ!?』

     すると、愛梨の高らかな笑い声がし、耳障りな物音が聞こえた。

     上を見ると、隊員の頭の上にあった刃が回り出した。

     慎太郎「愛梨!やめろ!!」

     隊員「うあぁ…!ぐわあぁぁぁぁぁあッ!!」

     隊員は無惨にうなじから切られた。

     大量の血を撒き散らし、更には首が取れてしまった。


     慎太郎「…すまない…。」

     俺は大量のマスクについていたフィルターを外し、自分のマスクにつけた。

     マスク越しの隊員は、まるで魚のような目でこちらを見つめていた。

     これが、愛梨の罠か…。

    ~続く~

    【投稿者: リオン】

    Tweet・・・ツイッターに「読みました。」をする。