きれいな星

  • 超短編 337文字
  • 日常
  • 2017年11月24日 22時台

  • 著者: ちくたく
  • 圧倒的な暴力によって汚辱された僕たちは、淫蕩に満ち満ちた政府によろしく、ディストピアの中にある。星も見えないこの都市では、暗闇に座するのみである。暗黒はけだし僕たちを潔癖から遠ざけ、肉感の場所に追いやる。しかしながら、僕らはやはり希望を持っていたい。希望はつまり彼女である。

    彼女は、この星を見つめる月である。やわらかな月だ。死者をやさしく包みこむ。この国を、崩落に追いやった「あの大戦」を経ても変わらない、偉大なる月だ。その意味では、彼女は永遠の娼婦だったのかもしれない。少なくとも、とんでもないひとたらしであることに間違いはない。



    星空の下、夜間飛行訓練が始まっている。空母、恋河から発進される。僕は、そのようすを確かめ、ふと湧き出したイメージを確かめるために目を瞑った。

    【投稿者: ちくたく】

    あとがき

    相変わらず、ふざけてるんですが、だいぶ、物語が立ち上がってきました。長いの書きたいなぁ。

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    コメント一覧 

    1. 1.

      こんにちは、ちくたくさん。SFの雰囲気のある超短編ですね。長いの読んでみたいです。


    2. 2.

      1: 3: ヒヒヒ

      連想が連想を呼びますね。都市、そして彼女と聞くとバビロンを想起します。
      巨大メトロポリスに敵対した反逆者たちの命運はいかに――という感じでしょうか。
      長いの読んでみたいです。


    3. 3.

      20: なかまくら

      普遍なるものに、安堵感を見出だすのでしょうか。
      月、かぐや姫の降臨もあるでしょうか、と。