圧倒的な暴力によって汚辱された僕たちは、淫蕩に満ち満ちた政府によろしく、ディストピアの中にある。星も見えないこの都市では、暗闇に座するのみである。暗黒はけだし僕たちを潔癖から遠ざけ、肉感の場所に追いやる。しかしながら、僕らはやはり希望を持っていたい。希望はつまり彼女である。
彼女は、この星を見つめる月である。やわらかな月だ。死者をやさしく包みこむ。この国を、崩落に追いやった「あの大戦」を経ても変わらない、偉大なる月だ。その意味では、彼女は永遠の娼婦だったのかもしれない。少なくとも、とんでもないひとたらしであることに間違いはない。
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星空の下、夜間飛行訓練が始まっている。空母、恋河から発進される。僕は、そのようすを確かめ、ふと湧き出したイメージを確かめるために目を瞑った。
あとがき
相変わらず、ふざけてるんですが、だいぶ、物語が立ち上がってきました。長いの書きたいなぁ。
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