久玲亜の過去

  • 超短編 2,212文字
  • 恋愛
  • 2017年09月17日 00時台

  • 著者: リオン
  •  あたしは橋本 久玲亜(はしもと くれあ)。

     あたしには一人の彼氏がいる。

     茅野 啓太(かやの けいた)だ。

     彼は熱い心の持ち主で、そんな彼があたしは好きになった。

     中学校の頃、元から臆病者だったあたしは席を立ち上がる事すらできなかった。

     その時に…。

     「お前、大丈夫か?具合でも悪いのか?」

     彼の声がしたんだ。

     この時の啓太は、すごくイケメンだった。


     「久玲亜、部活どうする?」

     久玲亜「え、あたし?」

     中学校に入ってから初めての部活。

     小学校からの友達と、何部に入るかを話していた。

     「あたしバド部入ろうと思ってんだけどさ、久玲亜も入らない?」

     久玲亜「えぇ、あたしはいいよ…。」

     そもそも、あたしは運動はできなかった。

     小学校の持久走では、最下位に近いくらい。

     「じゃあ、久玲亜は何部に入るの?」

     久玲亜「う~ん…。」

     「趣味に合ったやつでいいんじゃないか?」

     突然声がした。

     聞き覚えのある声。

     「ん?啓太?」

     啓太「俺はバスケが好きだから、バスケ部入ろうとしてたからさ!」

     「そこ威張るとこ?」

     啓太「お前らはどうするんだ?」

     「あたしはバド部だけど?」

     啓太「お前は?」

     久玲亜「え、あ、えっと…。」

     男子とあまり話した事がなかったから、あたしはすごく緊張していた。

     啓太「趣味とかさ、それに合ったやつない?」

     久玲亜「えっと…、イラスト…かな…。」

     啓太「お、じゃあ美術部でいんじゃね?」

     久玲亜「え…?」

     「啓太、ここは久玲亜に決めさせないと!久玲亜が困ってるでしょ?」

     久玲亜「あ、あたしは大丈夫だよ…。当たり前の事言っただけだし…。」

     啓太「じゃあ、これで決まりだな!」

     啓太「頑張れよ!美術部!」

     久玲亜「あ…。うん…!」

     あたしは啓太の言葉でドキッとした。

     鼓動が止まらなかった。

     啓太は優しくてかっこよくて…、あたしはそこから啓太の事が気になって仕方がなかった。

     「久玲亜、どうしたの?」

     久玲亜「ふわっ!?あ、いや、何でもないよ!」

     「そう?体調悪いならすぐ言いなよ?」

     久玲亜「うん…、ごめんね、心配かけて…。」

     啓太の事が好きなんて言えない。

     心の中に隠したままでいた。


     一年が経ち、あたしは放課後に体育館へ向かった。

     バスケ部を見に行ってた。

     体育館の中から、ドリブルを着く音が鳴り響く。

     久玲亜「あ…。」

     あたしは啓太を見つけた。

     この時は、啓太はベンチメンバーに入っていた。

     大会が近い中、あたしは啓太を見守っていた。


     久玲亜「…。」

     あたしは昇降口の隅に座り込んでいた。

     胸の中のモヤモヤがあったままだった。


     「何してんの?」

     久玲亜「ん…?あ…!」

     あたしを呼んだのは、啓太だった。

     首にはタオルがかけられてる。

     昇降口の隅に座り込んでいた事に、あたしは啓太から目を逸らした。

     啓太「帰るか?一緒に。」

     久玲亜「…え?」

     啓太はあたしと下校する事を言い張った。

     これはもしやと思い込みながら、あたしは下校を始めた。


     久玲亜「ねぇ、啓太…君…。」

     啓太「ん?」

     久玲亜「あのさ…。」

     あたしはその時、頭の中がぐちゃぐちゃになり、何を言おうとしていたのかもわからなかった。

     久玲亜「…やっぱり何でもない…。」

     啓太「…そうか。」

     この時、あたしは啓太は呆れたんじゃないかと考えてばかりだった。

     ただでさえあたしは、男子と話す機会なんてなかったのに…。


     啓太「久玲亜…だっけ?」

     久玲亜「え?あ、うん。」

     突然、啓太はあたしの名前を言った。

     あたしはドキッとした。

     啓太「俺さ、実は…。」


     啓太「…一年の時から、久玲亜が好きだったんだ。」

     久玲亜「…!?」

     突然の告白だった。

     確かに中一の時、あたしは散々啓太に世話を焼かされていた。

     啓太はこんなあたしでも、気を遣ってくれた。

     悪いのはあたしの方なのに…。

     久玲亜「啓太君…?」

     啓太「俺、去年から久玲亜の事、気になっていたんだ。」

     啓太「だから、今から言う…。」

     啓太「久玲亜、俺と付き合ってくれ!」

     久玲亜「…!!」

     啓太からの告白。

     断る事なんてできなかった。

     最初に好きになったのは、あたしの方だったから…。

     久玲亜「…あたしも…。」

     啓太「…!」

     久玲亜「あたしも…、啓太君の事が…好き…でした…。」

     久玲亜「あたしからも…、お願いします…!」

     啓太「久玲亜…。」

     中二で、あたしは啓太と付き合う事になった。


     啓太「久玲亜!」

     久玲亜「ん?どうしたの?」

     啓太「久玲亜に会いたくてさ。時間いいか?」

     久玲亜「うん。構わないよ。」

     あたしは啓太と付き合ってから、毎日話す事ができた。

     告白されるなんて思ってもいなかったけど、啓太と一緒にいる時は、今でも楽しい。

     そう思っていた。

     それから中三になっても、卒業しても…、あたしと啓太は毎日のように会って、沢山話をした。

     あたしは、幸せで泣きそうになった。

     やがて、あたしは恥ずかしがりから立ち直り、いつもとは違う日々が続いた。

     これも、啓太のおかげだ。


     高校に入学し、沢山の友達もできた。

     最初に友達になったのは、翔(しょう)とまいまい(舞依(まい))だった。

     こんな幸せな毎日は、あたしは忘れる事はできなかった。


     啓太「久玲亜。」

     久玲亜「…。」

     啓太「久玲亜!」

     久玲亜「あ、何?啓太。」

     啓太「さっきからボーッとしてたからさ、何かあったか?」

     久玲亜「ううん、何でもないよ。」


     久玲亜「ねぇ、啓太…。」

     啓太「ん?」

     あたしは啓太に、こう言った。


     久玲亜「…これからずっと、あたしを特別な人にしてね♪」

     啓太「ああ。するよ。」

     久玲亜「えへへ、啓太大好き!」

     啓太「おい…!この野郎~!」

     これからはずっと啓太と一緒。

     そんな毎日が続いた。

    【投稿者: リオン】

    あとがき

    初めての恋愛小説。こんな事、現実にありそうだと思いながら書いてみました。
    実はこの作品、シリーズにある「バイオハザード」の番外編となります。序章からいきなり番外編に入ってますが、ご了承くださいw
     本編も直々書くのでお楽しみにしていてください♪

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    コメント一覧 

    1. 1.

      20: なかまくら

      やー、甘い青春ですねぇ。
      好きな人ができると人って変われるものですからね。
      二人には死なないで生き残ってほしいなぁ。


    2. 2.

      リオン

      なかまくらさん》
       コメントありがとうございます♪
      啓太君と久玲亜は最高のカップルです♪本編ではどうなるのか…。お楽しみに♪