その日、僕らは神になった。

  • 超短編 1,551文字
  • 日常
  • 2017年09月17日 00時台

  • 著者: 秋水
  • ー(That day, we became gods in the urban areas.)

     僕はその日、いつもの喫茶店で珈琲を啜りながら新しい物語の草案を練っていた。
    物語を簡単に説明すると、こうなる。
    ーー
     読書好きの神様がいました。
    そんな読書好きの神様が特別に用意した図書室には75億の本が用意されている。
     飽きっぽい神様は次々に新しい本を手にとっては、読み終わらないうちに投げ捨てる。
    投げ捨てるどころか、落書き帳に使ったり等の自由加減だ。
    神様が気に入る本のジャンルに偏りは存在しないのだが、面白くない本は面白くないらしい。

     其処で、神様は一冊の面白い本を見つけ読み進める。
    その本のタイトルは「アサヒナカケイ」。
     神様はその本を偉く気に入り、読み進めるのだがどうやらオチが気に入らなかったらしい。
    最後、主人公は自殺を試みようとしているのだが自殺をするきっかけとなる部分から書き換えたのだ。
    自らが手を加えた所を読み直しては、満足し神様は暫しの休憩を取る。
     目覚めると手直したはずの、「アサヒナカケイ」が焼失していたのが分った。
    焼失したのを確認して満足そうな顔をする神様は、また面白い本を探し始める。
    ーー
     ・・・という内容の物語だ。
    この物語に僕が込めたメッセージは大きく分けて2つある。

     まずひとつに、誰かの人生は誰かによって操られている可能性が多々有ると言うことだ。
    この物語では神様というズルいファクターを存在させることで、操る側を簡単に明示させている。

     もうひとつは、もし本当に神様という存在が実在するとしたら君の行動一つ一つを監視していて時には意のままに運命を操ることが出来るかもしれないと言うことだ。もう少し、詳しく言うと自分の意思や行動すらも神様には操ることが出来るかもしれないと言うこと。

    ・・・なんて、薄すぎるか。

     「ハハッ」

     僕は思わず笑い声を漏らした。
    店内にいる他のお客さんに見られている気がする・・・。
    恥ずかしいからお客さんの方を見ないようにしているのだが、絶対見られてるよなあ・・・。
    恥ずかしすぎる、其れになんかハハッって以上に響いたようにも聞こえるし、どんだけ大きい声で言ったんだよ僕・・・いっそ、神様に頼んで笑い声が漏れなかったことに書き換えてくれないだろうか。
    ・・・やれやれ。
    なんでか、1つでも失敗すると急に居心地悪くなっちゃうんだよなあ。

     僕は時計を確認すると良い頃合いだと分ったので、そそくさと会計をすませて店からでた。

     僕は店から出ると、すぐに異変に気が付いた。

    くさい・・・。
    火薬の臭いか、此れ。

     僕は慌てて、周りを確認すると遠くの方でものすごい煙が上がっているのが見えた。

    「やっば!!」

     僕は思わず口に出していたが、近くにいた女子高生も煙を見ては「やっばいよ・・・。」と言ってスマホで何やら撮影しているので、先ほどの喫茶店のように恥じる必要は無いだろう。
    けど、待てよ。あんな遠くで上がっているのに何故こっちでもこんな臭いがするんだろう。
    急にとてつもない不安が襲ってくる。
    ・・・まさか、テロか。この匂い、まさかこの付近でも起こるんじゃないのか。
    僕はただ呆然と立ち尽くし、バクバクと波打つ心臓の鼓動を感じていた。

    (今思えば、僕は何故この時逃げなかったのだろうと思うが、仕方なかったんだ。)

    (逃げるという意識に至らなかった。只のそれだけさ。)

    タラリ、冷や汗が僕の額から流れていた。この時、僕は既に放心状態だった。

    先ほど、スマホを手にしていた女子高生が号哭をあげた。

    「ぎぃや゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

     彼女の尋常じゃない声(?)を聞き、ハッと我に返った。

     彼女はいったいどうしてしまったんだ。
     
     何を見たんだろう。

     そう思っていた時だった。

     2023年11月19日17時47分22秒。

     僕らはテロに巻き込まれて極光のまにまに姿を消した。





    【投稿者: 秋水】

    あとがき

    今回も考察ありきの作品となっております。
    今作品テーマとなるのが、"神"という存在です。
    私って文才がないので文章力や語彙力を補うべく勉強をしたいのですが、何かいい参考書等ご存知の方いらっしゃれば教えてくださると嬉しいです。
    "共に頑張ろうぜ!"って方も実際に声をかけてもらえると孤独な僕は喜びます。
    「孤独とか自称する当たり痛え奴やな、構わんとこ」と関西風に思わずに実際声かけてみてくださいよ。
    「別に貴方を喜ばせたって私に何のメリットもないじゃない」と利益主義にならずに声かけてくださいよ。
    乙「べっ、別にあんたを喜ばせようと思って話しかけたんじゃないんだからねっ!」とツンデレさんは大歓迎です。慶応ボーイならぬ迎合ボーイです。(・・・いや迎合ガールか?)
    僕「なんだ、僕の為じゃないんだ・・・」
    乙「な、なによ。不服なわけ!?私と話せて嬉しくないっていうの!?」
    僕「そそそ、そんな事はないよ。嬉しい。」
    乙「・・・///」

    Tweet・・・ツイッターに「読みました。」をする。

    コメント一覧 

    1. 1.

      1: 9: けにお21

      最後のあとがきが物語になっている!?w
      残念ながら、僕には文章力や語彙力がないので、教えられません。
      しかし、これは言えます!

      「一緒に頑張ろうぜ!」

      でも、秋水さんちゃんと書けてて、既に文章力や語彙力があるように思いますが・・・。
      さて、文章力や語彙力を上げるには、
      ①読書、
      ②師匠を見つけて、添削してもらう
      かな?って気がしますね。
      ない僕が言っても説得力0ですがw

      さて、本作。
      作家を主人公にしたお話で、そのお話の中にもお話がある。
      箱を開けると中に箱があるようで、面白かったです。

      もし神が存在していたら、自分や世界を操っているかも知れない、ってことでしょうか。
      最後、主人公がテロでやられたのも神様の仕業(またはいたずら)なのか?!


    2. 2.

      秋水

      >>けにお21さん
      ご謙遜なさらないでください。
      けにお21さん、語彙力や文章力ありまくりじゃないですか。
      しかし、そう言ってもらえたのなら「一緒に頑張りましょう!」と私の方も返事させて頂きます。
      ありがたい限りです涙
      いえいえ、自分の文章が拙い事を自覚しながらも何とか形にしようと必死にやらせていただいております。

      なるほど。
      師匠ですか・・・いいですねえ(憧れ)
      取り敢えず、皆目見当がつかないので沢山本を読んで少しずつ勉強していきたいと思います!
      アドバイスありがとうございます。

      えーとですね、此の話は”神”という存在を多角的に捉えている話です。
      作中で紹介した神の概念と、タイトルにもなっている神とでは全く違います。
      「量子脳理論」という学説と密接に関係している話だと考えてください。
      最後の光というのはテロに巻き込まれて爆弾のようなものに寄るモノです。
      不謹慎ネタではありますが、量子脳理論という迚も趣深い学説を意識させたかったのが此の物語を創ったきっかけとなっています。読者の皆様の死生観は存じ上げないのですが、こういう見方もあるのですよというお世話焼きですね。

      まぁ結局、自らが創りたいので創ったまでなので”他人に尽くそう”と等は考えていないのでご了承ください。


    3. 3.

      20: なかまくら

      なぜ、「アサヒナカケイ」は燃えてなくなったのか・・・。
      それについて一切触れない作家に疑問を持ちましたが、自殺の運命は変えられなかったのですね。
      そして、自殺は無意識のうちに起こっているのかもしれない、なんて思いました。
      さて、文章を上手に! ということですが、私がやっていることを紹介してみます^^
      使いたいキーワードを課題において、物語を書いてみます。必ず、1回はその言葉を作中で使うこと。
      そうすると、1つずつ、使える言葉が増えていく気がします。
      ちなみに、このサイトは、「コミュニケーションを大切にしている」サイトですが、
      皆さん書いているかたは、書くことが好きな方ばかりだと思いますよ^^。
      一緒に頑張れたら、長く続けられますね。気が付いたら私も10年もこのサイト(前身も含めて)にいるようです。
      仲間は周りにたくさんいると思いますよ。お互いに作品を読み合ったりして、やっていけるといいですね~。


    4. 4.

      秋水

      >>なかまくらさん
      「何故焼失したのだろう・・・?」と読者様に意識させたかったのが本心です。
      ですが、  
        {「何故焼失したのだろうか?」と読者に意識させることこそがこの本の真の狙いだ。}
      などと一文付け加えた方が良かったかもしれません。というか、入れるべきでした汗。ご指摘頂けて嬉しいです。
      朝比奈筧というのは過去に書いた私の作品に出てくる人物なのですが、彼女は頭が悪いんですよ。
      なので、彼女は強迫的に接してくる従兄弟の強烈な言葉を前にしても、「なんとなくそういう気がする。彼は私のためにそういってくれている。」などの理由から涙をこぼし一見幸せそうに見える道を選ぶのですが、そんな道が幸せな道であるはずも無く行く行くは自殺をしようとしてしまいます。神様は、そんな彼女の結末を面白がる筈もなく自殺を試みるきっかけにもなった大元の「従兄弟が部屋に来る」という運命をねじ曲げてしまいます。
      ねじ曲げた後の彼女の物語なのですが、彼女は結局自殺を選んだらしいです。
      なので、焼失しました。何故焼失するのかというのは、本の数というのは現在の地球上の人数と比例しているからです。
      焼失を確認した神様は「やはり此奴は、こうなる運命だったのか。」と自分はやるべき事をやったと満足するんです。

      なるほど。其れは良い方法ですね。思いつきもしませんでした。
      僕のような情報乞食に惜しみなく教えてくださって有り難う御座います!!!
      意識しながら、今後もまったりと書いていきたいと思います。
      そうですね、その通りです。私自身積極的に誰かと話そうと行動したこともないのに、受け身な立場に甘えるようではイケませんね!無知な僕に啓発してくださって、ありがとうございます。
      本当に感謝しています。


    5. 5.

      20: なかまくら

      >  {「何故焼失したのだろうか?」と読者に意識させることこそがこの本の真の狙いだ。}
      と書いたら、作品の描いていることが変わってくる気がしますね。
      この違和感に対して、  自分の運命に対しては、作家は干渉できないんだなぁと、私は読みましたが、
      消失したことを認知できるならば、すこし、運命に干渉できそうな気がします。
      どちらがいいのかは、私には分かりませんが・・・。