小さな指輪

  • 超短編 962文字
  • 同タイトル
  • 2017年06月30日 00時台

  • 著者: ミチャ寺
  • ユカとミヤコは今日も仲良し。

    * * *

    ユカとミヤコがお互いの家に遊びに行くのはいつものこと。今日はミヤコがユカの家に遊びに行っていた。
    夢中で遊んでいたが、ふと時計を見るともう16時を過ぎていた。あと1時間でお別れである。
    「ずっと一緒にいられたらいいのにね。」
    「そうだね。わたしもミヤちゃんとずっと一緒にいたい。」
    しかし、お互い別々の家に生まれた以上は、それぞれに帰るべき家がある。一緒にいる時間が楽しければ楽しいほど、その事実に対して2人の幼い心は不満を抱いていた。
    「そうだ!ミヤちゃん、こうしよう!」
    ユカは何か思いつくと、折り紙をせっせと折り始めた。
    「はい!約束の指輪!」
    「指輪?」
    「そうだよ!大人になったらこれで一緒になろう!」
    それは親の真似事。結婚指輪の意味をイマイチ理解していない2人の真剣な約束だった。
    「わたしもつくる!」
    ミヤコもユカのように作ろうとしたが、なかなか納得のいくものができない。
    いつの間にか2人で小さな折り紙の指輪を沢山作り始めた。
    気がついたら辺り一面指輪だらけになっており、さすがに紙を使いすぎだと母に叱られた。そしてこっそりお互いの自信作を指にはめて、笑いあった。

    * * *

    「由香はとうとう一人暮らしかぁ。いいな、いいなー。」
    宮子は一人暮らしを始める由香の引越しの手伝いに来ていた。宮子と由香は宮子の引越しにより高校生の時期は離ればなれだったが、由香が宮子と同じ大学に通うことになり、こうして再会することになったのである。
    「一人暮らしだって大変なんだよ?料理も掃除も洗濯も、ぜーんぶ自分でしなきゃいけないんだから。少なくともミヤには無理でしょう?」
    「ひどい!私だっておにぎりの1つや2つくらい作れるよ!」
    「はいはい、ミヤは器用ですね〜。」
    「絶対小馬鹿にしてる……」
    他愛ない会話をしながら細かい荷物を整理していると、小さな紙の指輪が出てきた。
    「あっ、由香ー!これ見て!懐かしいよ!」
    「えぇ?……ああ、それね。さすがにずっとはめてはいられないからしまい込んでたんだよね。」
    幼い頃、大人になったらずっと一緒にいようという約束の指輪。約束のことを忘れないためなのか、単なる愛着なのか、それは未だに大事にされていた。
    「……私もここに引っ越していい?」
    「ふふっ、さすがにそれは勘弁。こんな狭い家に2人も住めないよ。」

    【投稿者: ミチャ寺】

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    コメント一覧 

    1. 1.

      ミチャ寺

      勝手に決めちゃいました。
      どうも、ミチャ寺です。
      中学、高校の頃のクラスメイトのほとんどは忘れているのですが、幼い頃友人とした遊びや会話はなぜか覚えていたりします。人の記憶って不思議なものですね。
      2人の少女の思い出の話、お楽しみいただけたら嬉しいです。


    2. 2.

      1: 9: けにお21

      子供の頃の友達との約束。

      これを読むと昔を思い出し、子供の時の方が友達と純粋に付き合えてた気がします。

      本作の主人公二人に関しては、羨ましくも成長してからも純粋に仲良しですね。

      大人になるとどうしても自分と相手の背景が見えて、なかなか難しいですが、子供の頃のように無邪気に純粋に付き合いたいものです。

      滑り込みですね!


    3. 3.

      1: 3: ヒヒヒ

      6月の同タイトルが……決まったっ……!
      って同タイトルの精霊がほっとしていました(笑

      最後の言葉で、あぁ、二人は大きくなったんだなぁって
      そんな感じがしました。


    4. 4.

      3: 茶屋

      まさかの紙の指輪かぶりに私も運命を感じます(おいっ
      大事な記憶の扉を開く鍵はその人だけの宝物ですね。
      得難い友人との共通のものならなおさらでしょう。


    5. 5.

      ミチャ寺

      けにおさん、コメントありがとうございます。
      幼少の頃は相手の名前を知っていて、共に遊ぶ時間があれば「友だち」という関係が簡単に成り立っていた気がします。大人になるにつれて段々と難しくなりますよね。
      滑り込みました!

      ヒヒヒさん、コメントありがとうございます。
      同タイトルの精霊に毎月物語を捧げることを人生の喜びとしております(笑
      2人の年齢や身長も、「一緒ににいる」という言葉の意味も大人になって、ワンルームでは足りなくなったのでした。

      茶屋さん、コメントありがとうございます。
      思い出の品ってなんだかんだで捨てられずにとっておいてしまうものですよね。だから私の部屋は片付かないのでしょうか(笑