おむすび

  • 超短編 648文字
  • 日常
  • 2017年05月27日 20時台

  • 著者: ほみち
  •  ネコと仲良くするネズミみたいに、貴方とおむすびは仲良くできるだろうか。


     朝起きて、貴方が仕事に行くときに、おむすびは名残惜しくも見送ってくれるだろう。
     帰ってきたら、お風呂を沸かして待っていてくれる。ぽちゃんとお風呂に落ちて、お茶漬けになったら大変だ。パリパリの海苔が湿気ってしまうかも。
     夜はなかよく布団で眠るのだ。貴方は気持ちよく眠りにつくだろう。おむすびを食べる夢を見て、目が覚めて、寝ぼけた貴方にかじられたおむすびが、そこにあることに気がつくだろう。
     貴方は泣きながらおむすびを食べるのだ。ごめんなさいと謝り、泣きじゃくって、おいしいおいしいとおむすびを食べるのだ。
     おむすびにも、食べさせてあげたかったな……なんて馬鹿なことを考えながら、いつのまにかまた貴方は眠りにつくのだ。
     腹を満たされ、至福の時 。じつに質の良い眠りにつくことだろう。


    「なあに、貴方。そんなにじいっと見つめて」
     家内が恥ずかしそうに笑うので、僕は慌てて背を向けて目を閉じる。
     起きている間はいい。しかし、一度眠りについてしまったなら、僕は彼女に何をしてしまうか分からない。
     家内も家内だ。食べたくならないように、ガリガリの女性を選んだというのに。
     結婚した当初はあんなにスリムだったのに、最近は少し太ってきた。あんなに美味しそうなのに、僕は眺めていることしかできない。
     他の食べ物では、絶対に満たされないから、尚更辛い。
     そんな僕の後ろ暗い気持ちなんか知らずに、家内がおやすみをいう。

     僕は一体 いつまでおむすびとなかよくしていられるんだろう。

    【投稿者: ほみち】

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    コメント一覧 

    1. 1.

      1: 9: けにお21

      うーむ。

      おむすびは家内。つまりおむすびのようにふっくらした奥さんのことかな?
      夢の中では、奥さんはおむすびで、ふっくらしているので、容赦なくむしゃむしゃ食べてしまうのかな。

      出だしは二人称で、後半は一人称に変わっている。そこにテクニックを感じました。

      最後の一行に、夫婦仲に関するメッセージ的なものを感じましたが、それが何だか分かっていません。
      まさか、本気で奥さんを食べようとは考えていないと思うのですが。

      それと、いつもツイッター読んでます!
      オモロイです!


    2. 2.

      ほみち

      けにおさん、ありがとうございます。以前公開したときも、色々な解釈をしていただけた謎の多い作品です(笑)

      私としましては、最初から最後まで奥さんがおむすびだ、食べ物だというシュールな作品として発表したつもりでした。
      けにおさんのように、実は人間で、おむすびはあくまで例え説や、最初から最後まで奥さんは人間で、それを食べてしまいたい(カニバリズムというのでしょうか)説等々、私も何が正解か分からなくなりました(笑)

      改めて、人に思ったことを文章におこして伝えるのは難しいなと思い知らされた作品です。

      あっ!Twitterまで見ていただいて!ありがとうございます(///∇///)


    3. 3.

      1: howame

      この作品、覚えてます。おもしろい作品ですよね。おくさんがおむすびに見えてしまうなんて、ちょっとホラーぽくもあり、印象的でした。