口直し

  • 超短編 307文字
  • 恋愛
  • 2020年08月21日 20時台

  • 著者: 3: 寄り道
  • タワマンの高層階に住むその男は、昨夜抱いた女を尻目に、珈琲を淹れる。

    珈琲を淹れるときの物音か、それとも珈琲の芳しい匂いでなのか、女が目を覚まし「おはよう」と呟く。

    男は、頭を掻き毟りながら、ドリップポットを置き、女が昨日来ていた服を手にし、窓から放り投げた。

    そんな状況を呆然と見つめる女を横目に、衣装部屋からロングコートを手にすると、横になっていた女を力づくで立たせ、それを無理やり着させ、髪の毛を鷲掴みにし、目を見つめながら「不味かった」とぼやいた。

    男のその言葉に涙を流した女は、鷲掴みされてある手を強引に振り解き、走って玄関を飛び出した。

    男は、不味かった女の口直しに、珈琲を一口飲み「美味しい」と笑みを浮かべた。

    【投稿者: 3: 寄り道】

    あとがき

    サイテーな男だけど、ドラマのワンシーンなら映える男を書きました。

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