「……は?」
「ちょ……」
冷蔵庫を開けたら、彼女が何か言いたげにごろりと転がり出てきた。
「冷えっ冷えだな」
「そりゃ……冷蔵庫にいたんだもん……」
「風呂、入っとくか? 布団がいい?」
「……なんで動揺しないのよあんたは」
「まぁまぁ」
「まぁまぁじゃねぇ」
「……布団」
彼女を抱き上げて布団に運んで、毛布をかけてやる。
こういう時、彼女が小柄で良かったなって思う。
だって、なんか男らしさをアピールしやすいじゃないですか。これは内緒の話なんだけどね。
毛布にくるまった彼女は、ガタガタと歯を鳴らしながら俺をにらんでくる。
「ぜんっぜん驚かない!」
「だってそりゃー、もう慣れてるし」
「しどい!」
この間は土間、この間は押入れ、その前は洗濯機…と来ればあー、次は冷蔵庫かなぁという予想はつく。
「まぁまぁ、サプライズしたい気持ちはありがたく受け取っておくから」
「何よそれ~…あんた何やっても驚かない、つまんない!」
「別にいいんじゃない?」
「よくないよ!」
「いいんだよ」
俺は後ろから彼女を抱っこする。
彼女の肩が小さく跳ねた。俺は気にしないで続ける。
「だって」
「……だって?」
「怖くはないし驚かないけど、可愛いとは思ってるし。そういうとこ」
「~~~~~~っ!」
彼女は俺の方を向いてポカポカ胸を叩いてきた。
「ちくしょー今度は絶対驚かせてやる~!」
「はいはい」
「許さん!」
「可愛い」
噛み合わないけれど楽しい、イマイチ頓珍漢な会話。
幸せだなぁ。
最後にひとつ、ぎゅっと強く彼女を抱きしめて、その日はお開き。
願わくば、こんな日々が続きますように。
あとがき
甘々が書きたかったんですテヘー。
読んでくださりありがとうございました。