余暇

  • 超短編 341文字
  • 日常
  • 2020年03月06日 16時台

  • 著者: ルルロア・シャーロット
  • 城の中での一生は退屈を極める。先日私が管理官に出した要望書は、採用されそうにない。ほぼ形だけとはいえ、一応は庶務七等官だが、権限などあってないようなものだ。洗濯室での待ち時間を、こんな雑文で紛らそうとしている。
    二親とも教師だったせいか、お金の才覚に乏しい。学芸はざっと見通したくらいで、あとは毎日を城の中で生きる。上役ややんごとなき方々の考えを、それほど理解しているわけではない。退屈だと書いたのは、私というよりそれらの人々の事のつもりだ。私自身は城の暮らしに満足していると思う。ただ他国には行ってみたい。給料が安いのだ。
    こんな事を携帯端末に保存していても、あとで盗み見られるだけだろう。さすがに書くくらいで、そのデータが勝手に管理官に送られる事はないと思う。
    洗濯は終わったようだ。

    【投稿者: ルルロア・シャーロット】

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    コメント一覧 

    1. 1.

      20: なかまくら

      待ち時間をどう使うか、ということだけでも、その人が見えますね。
      アウトプットできるこの人物は、決して文章ほど退屈な人間ではないのかもしれませんね。別の余暇ものぞいてみたいですね。意外と管理官の間で人気のエッセイストで、他国への旅行も認可が出たりするといいのですが・・・(笑