Chapter3 暗夜④

  • 超短編 1,417文字
  • シリーズ
  • 2019年10月26日 17時台

  • 著者:退会済み
  •  「あ~、食った食った~。」
     夜更けを迎えた。
     ちょっと遅くなっちゃった。人もだんだん少なくなっていく。
     「そういえば涼介はどうする?このまま私の巣に寝泊まりする?」
     「んー、それは流石にまずいから遠慮しとくわ。俺ぁどっかで休める場所探しとくよ。」
     「ふふっ、そっか。」
     「んじゃ、また明日な。」
     そう言うと、涼介は向こうへ歩いていった。

     「さて、明日に備えて休もう。」
     「そうだね。」


     …まだまだ距離は遠い。

     何だか、嫌な予感がする。



     何者かに見られてる?


     そんな気配がする。


     昼間と同じ気配。


     でも、若葉は気付いてない。



     「ねえ若葉…。」
     「ん?どうしたの?お姉ちゃん。」
     「なんか…、視線感じない?」
     「え?また?」
     もしかして、私にしか見えない謎の視線が迫ってるの?
     「うん。気のせい…じゃないと思う…。」
     「ひょっとしてお姉ちゃん、疲れてる?
     なんか、言っている事が変だよ?」
     「そうなのかな…。」
     若葉からそう言われるけど、何だか落ち着かない。
     とりあえず、警戒した方が良さそう…。



    《若葉視点》
     さっきから、お姉ちゃんの様子が変だ。
     「視線を感じる」…。どこからなんだろう?
     私はそんなのは全く感じていない。
     私はとりあえず、「疲れてる」とはぐらかしてるけど…。
     本当に誰かに見られてるのかな…。
     そう思うだけで、背筋がゾクッとしてきた。



    《奈那美視点》
     嫌な予感が続いていく。
     それうえ、街の様子も変だ。
     まだ日付が変わってないのに、人がいない。
     どういう事だろうか?
     ここは東京。それに歌舞伎町。
     普通なら、夜でも賑やかになっているはず。
     でも今は違う。
     まるで寂れたように、人が全然いない。



     するとその時ーーー。



     「グワァッ…。」
     「…!」
     「…お姉ちゃん?」
     「今…、声が聞こえた…。」
     「声…?」
     本当に若葉は気付いてないのだろうか…?
     若葉はキョロキョロと辺りを見回す。
     「ちょっとお姉ちゃん、怖い事言わないでよ…。」
     「本当にわからないの?若葉…。」
     「わかんないよ!早く巣に帰ろう!」
     急ぎめで若葉は歩き出した。
     どうなんだろう…?やっぱり若葉は気付いてるのかな…。


     「グワァッ…!」
     「…!」
     また、声が聞こえた。
     私達の見えないどこかで聞こえてくる。
     そう思った直後…。



    ガシャアァッ!!
     「危な!?」
     突然、近くに積んである木箱がぶっ壊れた。
     奥に何かいる…!


     「グワァッ…!」
     「…!何あれ…!?」
     ようやく正体を現した。
     その姿は、まるで怪物のような人間だ。
     表現しにくいけど…。
     「わからないけど…、普通の人間ではない事は確かだね。行くよ!」
     私はそう言うと、鬼薙刀を構える。
     相手の武器は…、ハンマーか?
     当たったら骨折じゃ済まない。


     やってやる…!



     「アァッ…グワァッ…!」
     ようやく倒れた。
     狂ったような動きをしていて、攻撃を避けるのに少し手こずった。
     「何だったんだろ…、あれ…。」
     まあ確かにあの感じからして、普通の人間とは思えない。
     何と言っても、見た目はかなりグロテスクだ。
     「多分これは…、


     …大屋からの洗礼かもね。」
     「…え?」
     「今回のこの件、全部大屋と関わっているに違いない。
     お姉ちゃんはそう思ってる。」
     「……。」
     …月が薄黒い雲に隠れる。
     何とも不気味だ。

     「大屋は、お姉ちゃん達の見えないどこかで、こう言ってる。
     ここから始まるのは、今みたいな暗い夜…。


     「暗夜」が始まるんだって。」
     「…暗夜…。」
     辺りは闇に包まれているように暗い。
     ここから毎日、このような夜が来ると思う。


     大屋に勝つまで…、暗夜は終わらないーーー。

    ~Chapter3 暗夜 END~

    【投稿者: 2: アズール021】

    あとがき

     ようやくChapter3終わりました~。最後に出てきた敵は何だったんでしょうか?それは次回わかります。
     次回からChapter4となります。お楽しみに。

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    コメント一覧 

    1. 1.

      20: なかまくら

      やばいクスリ💊があるようですね・・・。
      バイオハザードみたいな感じがしてきました。
      ズバッと切ってほしいです!!