• 超短編 802文字
  • 日常
  • 2018年07月18日 00時台

  • 著者: 1: 鉄工所

  • あれから何年経つんだろう?

    ねーえ…

何であたしの名前…ホタルなの?


    パパがつけたんでしょ~?


    大体さぁ

ホタルって虫っ…


    あたし、虫じゃないしぃ

見たことないし




    時代遅れのタバコに火をつけると

煙の影に隠れて、父親は重い口を開いた

「そうか… じゃ見に行こう 夏休み」

    

えー 暑いし…


    「夜だから 平気だよ」


    夜?夜で見えるの??

モー…訳わかめな虫っっ




    普段は加齢臭とか言って乗らない車にチョコンと座る。
    髪がモサモサするからオープンは駄目って
    一丁前に…誰に似たんだ?

    オレンジ色のトンネルの照明が飛んで行く
    程なく着いた
    Z4 濃紺のオープンカー
    ハザードに寄ってくる
    
トリチュームグリーンな色の

点滅色 シグナル

    わぁぁぁ スゴイすごくぃ♪♪



    あぁ そうだ

はしゃぐ娘を見たのは、小学3年の頃か?
    妻の実家に帰省した時それ以来だ

    無機質なハザードの音に
    何処かの小川…いや清水のせせらぎが時間を迷わす

    ねぇ…ぉ父さん

私は、光るのぉ


    不意に我にかえる

「んぁ…時期が来ればな…」


    お母さんも光ってたの?


    「…」


    ねぇ?

暗いことを良いことに涙ぐむ父 親


    「ああ…綺麗だったよ」



    ミナモのちかくの葉で、光り鮮やかに水面に反射した!


    母親の浴衣を着た艶姿 それと
    娘に、あの頃を重ねて見た



    
ふっ「まだ子供だな…」


    なんか言ったぁ~

お父さんっ☆




    パパでなく、いつから父になったんだ?
    


蛍の光がフラッシュバックした!


    ひかる…の父もそうだったのかな…





    今年の夏は妻の実家に行って見るか


    死んだのは、お前の薄情のせいだと言われたんだったかな…
    義理父と話しをして、苦い酒でも飲んで見るか?



    娘が沼の蛍に拐われない内に…



帰りはオープンのまま闇に消えた

    蛍のひかりは娘の心を開いたか?

    この年頃は難しい…




    世代と変わらぬLOVEコールv2.1@鉄工所

    【投稿者: 1: 鉄工所】

    あとがき

    お暑うございます
    自然の水面の涼しさと
    少し怪奇な想像力で涼めるように
    5文字だけ変えて見ました。

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