『ようこそ』が止まらない

  • 超短編 317文字
  • 同タイトル
  • 2018年05月01日 00時台

  • 著者:1: 3: ヒヒヒ
  •  かつて世界最速を誇ったジェットコースターのレールは、吹き飛んだ観覧車の下敷きになっていた。

     ぺしゃんこにつぶれたお化け屋敷から流れ出た赤い液体が、だんだんと乾いて、アスファルトの

    染みになりつつある。

     屋根をなくした受付用ブースの中で、ジーナは椅子に座ったまま、お客様がやってくるはずの

    ゲートを眺めていた。彼女の電子頭脳の中では、プログラムがカウントを続けている。

     16時10分、入園者0。

     16時20分、入園者0。

     ゲートの向こうの、ロールケーキのような形の駅舎には、黒く醜い焦げ跡がついていて

    その中からは殺虫剤にやられた芋虫よろしく、列車がにゅっと突き出ている。

     16時30分、入園者0。

     16時40分、入園者0。

     彼女はただ、お客様を待っている。

    【投稿者:1: 3: ヒヒヒ】

    あとがき

    ……ようこそ、止まってますねこれ。

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    コメント一覧 

    1. 1.

      20: なかまくら

      待っているからこその、ようこそ! なのかも! と思いました。
      ようこそにはそういう響きがある気がします。


    2. 2.

      1: 9: けにお21

      ようこそ、完全に止まってます!w


    3. 3.

      ミチャ寺

      ようこそ、止まってますね(笑
      ただそのひと言が言いたくて待ち続ける姿を思うと切なくなります


    4. 4.

      1: 3: ヒヒヒ

      皆さん、感想ありがとうございます!
      遊園地が再建されて、彼女が再びようこそと言えるようになるのか
      それともその前に、彼女自身が止まってしまうのか……。
      あるいは何かが起こって、彼女がほかの誰かに「ようこそ」と迎え入れられるって
      展開もあるかもしれませんね。