冬将軍が必死に抵抗する季節
良くある病院の一幕である。
ピポ ピポ ピポ 〜
プッ プッ プッ …
18:00 Fは我儘な患者だ
四人部屋の構成では、我儘1 普通2 おとなしい1 こんな比率が多いのだが
透析で障碍者となる
障害年金の悪口を影で言うので気にかかっていた
障碍者手帳取得で障害年金になると思いこんで損するとスタッフや行政の悪口を言う
(いや、申請して認定しないと出ないし老齢が優先だし、選択制だし、まあ難しいけどね。)
病状説明に息子達も来ない…
まあ、この親ならと理解も出来る
だが、透析になっているので深刻な事態である息子達が来ないしとかのレベルでない
(身内が障碍者になったので、状況はほぼ分かるし先が意図も簡単に読める。)
ただ、状況が違うのは、我儘の患者の母が90歳で寝た切りだそうだ…
その母が居なければ、死ぬには丁度良いタイミングであろう。
が、息子が先立つと後追いになり、その一家は大変に不幸となる。
男が死ぬタイミングは
自分の体調不良で我儘になった頃が丁度よい
女と違って、手がかかるからだ!
身内の事でつくづく痛感した
あの倒れてた時に亡くなれば、良い親であっただろう子供孝行となった筈だ
例え生前立派でも、末期に我儘言えば生き恥だ
残された人の事を考えてない人間は最悪だ
長い前置きは以上だ。
もう限られた医療キャパシティに於いて、我儘な患者に対応するのは、他を犠牲にする事に繋がる、深刻な局面だ。
多分 心不全等ERに搬送されたかで、満床から他科依頼でこちらに来ている感じだ
担当スタッフが違うので分かり易い
腎臓の不全で透析
未だ、シャントを取る前段階
血圧低下もあり
心カテの至急検査が明日だ
シャントの手術が10日後に予定されている。
血管の狭窄が有れば、一刻を争う自体でもあるのは、病弱な人なら想像出来る範疇だ
しかし、残念なのは健康自慢だから無知なタイプ…
結果的に老後鬱で不幸になるタイプに分類される。
幸か不幸か四人部屋はカーテン越しに性格が見えてしまう
持参したケーキを食べて、夕食を食えねー言う性格(病院の食事管理は点滴ともリンクしているので病院食は絶対であり、その為の管理入院)
透析の止血バンドを3回説明してようやく家族が買うタイプ
リハビリにケチを付け
最終兵器の傷みどめテープを貼って、透析したら痛く無かったので、やれば出来ると言い張り
レントゲンを何回も取る無駄とか、院内の人伝に聞く話が気にくわないとか
Fは針が
痛い痛いとか… 餓鬼かよ
まあ… 煩い!
18:30 心カテの検査で鼠蹊部の剃毛でゴネ出した
同意書は書いて、明日の検査予定が迫った前日の夕方
Dr を呼べと騒ぎ(責任者出てこいパターン) 検査はやらない、メス入れるのは良くない、介護の母がいて入院がままならないとか騒ぐ
自身の内科医が担当しないとか、専門医の制度や、レントゲンは簡単で仕事してないなど、言いたい放題
流石にDrも反論した私達スタッフは常に患者にその時の最善を尽くしているのに、貴方はどうしたいのですか?
では、日程変更しましょうと Dr が折れるも もう良いやらない、他の病院に行くと騒ぎ、透析のシャント手術もしないと…
遂には透析しないと言い張り騒ぎナースがあやす
「透析しないと一週間で死にますよ」と言うと脅しだと騒ぐ
そんな患者を脅してまで云々と
(同室のNはあまりの煩さに、カーテン越しに切れた…)
「死ぬぞ オヤジ!!」
所謂 神の声だ、多分聞こえた筈だ
19:00 静かになった
最終的に循環器から透析科にサジを投げられた…
合併症等で心臓が弱り血圧があがらないと
透析が出来なくなってくる。
騙し騙しやっても当人は苦痛だけで
苦しむ為に生きている状態で
透析を中止する最終判断は家族になる。
もう、その頃には当人の判断能力が無いからだ。
透析中止の本人同意書が有れば
少しは違うであろうが
死を決めるのは家族に委ねられる。
医療スタッフともに辛い事実だ。
20:00 Nは懸念する…(明日、騒いだら叱ってしまうかもしれない)
医療のキャパシティを超える問題も深刻だが
病室の一期一会
何かある様にも思えなくない
21:00 ー消灯ー
4:00 やっぱりFに除脈が出ているとナースが様子を見に来た…
5:30 そのFがバイタルチェックにてナースの話を聞き、昨日の反省が始まる(朝から煩いし)
6:00 話が続いた過去に脳梗塞等入院数回ありと言うが、学習能力のない呆れた患者だ
8:00 Fの次男かに透析しないと、それやばいと言われる、どうやらDrに謝るようだ
12:30 Fの長男かに我儘を色々叱られる
13:00 今日は春めいて快晴だ
Nは考える
うん、上手く行ったじゃないか!
いや!お蔭で寝不足うまくいってないよ。
全く病気になるよ…個室入れって
此奴ら大部屋のやり取りには煩過ぎる!!!
ここは病院なんだから…と
鉄工所
あとがき
人生模様
上手くいったり
逝かなかったり
色々…
コメント一覧
病室についている窓から、その中を垣間見ているような気持になりました。
うまくやりたい、自分の意を通したい、と言う気持ちがかえって
物事を悪いほうに進めているような、そんな気もしてきます。
時系列のエッセンスを加えた事でリアル感が十倍になったか知れません。
自分の都合を病気より優先し、鉾先を変な方向に向けてしまった様な例を良く見かけます。
自戒を込めて直向きに謙虚が一番だと思うこの頃です。
私自身は入院という経験はお産以外ないのですが、夫がいろいろと入院しておりましたので、この作品を読んでいろいろとよみがえってきました。
たしかに病室内というのはいろいろなドラマが起こりそうですね。
4人部屋の構成が、我儘1普通2おとなしい1という割合だというのがおもしろかったです。
我が家も持病が発覚してからそんな感じでして、ネタは結構あったりします。
六人部屋の経験は無いのですが、大体こんな感じだと思います。
まあ、健康こそ一番の幸せですね。
しらないけれど、弱っている人同士・・・
弱ってるんだから、もっと、素直に人を頼ればいいのに、と思わずには居られないのですが、そうはいかないんだろうなあというリアリティがある作品でした。うまくいかないものですねぇ。
アマゾンの自然界とかの群
弱ると気が強くないと排除されたりで…
強がりとして、そんな自然な心理を描写して見ました。
マズローの三角形
底辺は余り素敵でないようですぅ。