ドウターズ2

  • 超短編 1,842文字
  • シリーズ
  • 2017年10月01日 08時台

  • 著者: リオン
  • ※ドウターズ2の続きです。

     バスルームに着くと、親父は湯船に母さん頭を沈めさせていた。

     諒「親父…!?やめろ!!」

     脩司「心配するな。このままではまだ終わらんぞ。」

     脩司「綺麗好きはいい事だ。俺がお前の母さんを綺麗にしてやるからな。」

     そこから親父からも、異変を感じた。


     脩司「あの子の望みだ。」

     脩司「あの子への愛情をしっかり見せてやらないとな!」

     脩司「俺達に愛情を見せろとあの子は言っている。」

     諒「親父…!」

     親父は自分の胸元を包丁で串刺し、さらに掻き切った。

     俺と親父の胴に親父の血がこびりついた。

     脩司「あの子をがっかりさせたくないだろ?それは良くない。」

     諒「あの子って誰だよ!」

     脩司「お前の妹のエヴリンだよ!」

     そう、これはあの少女・エヴリンの仕業だった。

     あいつのせいで、親父や母さんがおかしくなっていた。

     脩司「ロープを取ってくるのに一体いつまでかかってる!お前にはお仕置きしてやらないとな!」

     諒「親父…!どうしたんだよ…!!」

     俺はこれはエヴリンのせいだとは知らなかった。

     何もできず、一目散に逃げるだけだった。

     脩司「この家にいる限り、俺の言う事には従ってもらうぞ!」

     諒「早く逃げないと…!」

     俺はすぐそこにあった部屋に入り、親父が入ってこないようにロープで固定した。

     脩司「諒!さっさとここを開けろ!!」

     諒「近付くんじゃねえ!」

     隣の部屋にあったフォークを手にし、壁に釘で張り付いていた木板を剥がし、ベランダに出た。


     愛梨の声『ちょっと何してんだし!』

     愛梨の声『ああ!くそ!やめろー!』

     愛梨の声が聞こえる。

     俺は愛梨を助けようと向かうと、彼女はもう手遅れだった。

     脩司「いいか、よく聞け。お前はあの子の姉になるんだ。」

     愛梨「ああ、やめろー!離せー!」

    バタンッ!

     脩司の声『おいどうした愛梨、あの子の力を受け取ってやれ。』

     愛梨は親父に連れていかれ、ドアは鍵を掛けられた。


     諒「こんなのありえねえよ…!」

     俺は勝手口から外に出て、トレーラーに入った。

     トレーラーには、一人の少年が寝転がっていた。

     この少年は、冬斗だ。

     異変が起きた後の事で、麗奈がこの家に来た時、俺はこいつは麗奈の弟だと思っていた。

     手には、D型被検体の頭を持っていた。

     これは最初、冬斗が見つけた物らしい。

     机には、手紙が書かれている。


     『水島家の皆さんへ

     助けてくれてありがとうございます。でも、僕の事はどうか忘れてください。

     あの船で僕はある「大事な荷物」を運んでいました。もしその「荷物」と関わった事を知れれば、あなた達に迷惑がかかります。警察には通報せずに、僕とも出会わなかった事にしてください。

     それと、大切な事…。

     船のそばで「10歳くらいの黒髪の女の子」を見かけても近付かないでください。

     話しかけられても速やかにその場を離れてください。ただし、絶対に彼女の機嫌を損ねないように。

     もし今、あなたに不調を感じるなら、それはきっと最悪な結果を招きます。病院でも治せず、死ぬより恐ろしい事です。

     でも、助かる方法はあります。「血清」を射てば…症…の進………』

     手紙には文字が書き乱れていて、先は読めなかった。

     黒髪の女の子…エヴリンの事だ。


     「お兄~ちゃ~ん…。」

     エヴリンの声が聞こえ、振り返ると…。


    ガシッ

     諒「!?」

     エヴリンは笑いながら、俺の腕を掴んできた。

     そして、目の前が真っ暗になった。


     諒「!?…寝ちゃってたか…。」

     朝のリビングで、俺は目が覚めた。

     どうやら夢だったらしい。

     脩司「お、ようやく起きたみたいだな。」

     愛梨「まずいコーヒーの匂いで目覚ましなよ。」

     脩司「…愛梨。」

     携帯を弄っている愛梨が淫靡な言語を発すると、親父は愛梨を睨んだ。

     紗由理「大丈夫?昨日の夜は嵐で皆大騒ぎだったからね…。」

     諒「うん、平気。でもすごい変な夢見た気がするんだ。小さい女の子がいて…。」

     脩司「朝御飯を食べ終わったら、愛梨を連れて嵐の被害がないか調べてくる。お前達も庭の周りを確認するんだ。」

     紗由理「それはいい案ですね。前のハリケーン覚えてますか?最初は被害が少なくても、次に雨が降ったら大変な事になるんですから…。」

     親父達の後ろに、エヴリンが現れる。

     親父達は気付いていなかった。

     エヴリン「よろしく。お兄ちゃん。」


     こうして、俺の孤独な戦いが始まった。

     完全に支配こそ免れたものの、エヴリンの呪縛は次第に体を蝕んでいく。

     豹変した家族に追われつつ、冬斗の書き残した「血清」を当て所なく探し求める日々。

     やがて彼の前に麗奈が現れ、「血清」のもとへ導かれるのはまだ遥か先の事であった。

    ~ドウターズ end~

    【投稿者: リオン】

    あとがき

    はい、番外編ドウターズが終わりました。ここから麗奈お姉ちゃんが現れる流れとなります。これで本当にバイオハザード7の小説は終わっちゃいますが、皆さんに想像が膨らむ作品になったと思います。
    番外編も含めて最後まで読んでいただき、ありがとうございました!今後とも、バイオハザード7をよろしくお願いいたします♪

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    コメント一覧 

    1. 1.

      20: なかまくら

      やー、結局諒と愛梨がその後、どうなったのかは分からないのですね。
      一度、変異してしまったら、戻れないのかなぁ・・・そんな悲しい結末は観たくないと言えば観たくないですが・・・。


    2. 2.

      リオン

      なかまくらさん》
      コメントありがとうございます♪
      エヴリンの力は手遅れでなければ血清を使えば治ると、本編で諒が言っていました。この頃は、諒にとっては衝撃的かもしれませんね…。