水島家の真実

  • 超短編 2,159文字
  • シリーズ
  • 2017年09月30日 14時台

  • 著者: リオン
  • ~前回までのあらすじ~
     意識を失った麗奈を助けに、沈下していた船に足を踏み入れた弟・冬斗。そこで謎の少女・エヴリンと出会い、3年前のビデオテープを見せられる。先輩を失い、エヴリンからも被害を受け、海中で意識を失っていた冬斗。今までの記憶が全て戻り、再びエヴリンを探すのだが…。


     僕は再び、お姉ちゃんを探した。

     少し進むと、監視室に着いた。

     冬斗「お姉ちゃん…!」 

     モニターを見てみると、塊で動けなくなってるお姉ちゃんが映し出されていた。

     冬斗「まだ間に合えばいいけど…。」

     冬斗「よし、一番下だね。」

     僕はモニターから離れる。

     すると…。


    ガシッ!

     冬斗「うぐっ!?」

     エヴリン「嘘つき!!」

     冬斗「やめろ!エヴリン!!」

     突然、エヴリンが僕の左手首を掴んできた。

     骨が折れるくらいの力で握り締める。

     エヴリンが去ると、僕の左手首にエヴリンが掴んだ跡が残っていた。

     冬斗「もう幻覚はうんざりだ。あの子はどこだよ…!」

     僕はエヴリンに対しての怒りが止まらなかった。

     僕はあの時のように、エヴリンを探し回った。


     敵を倒しつつ、ようやくエヴリンの所へと辿り着いた。

     エヴリン「私のためにやってもらいたい事があるの。」

     エヴリンがそう言うと、すぐに去ってしまった

     冬斗「お姉ちゃん…!」

     エヴリンの後ろにいたのは、先程カメラに映っていたお姉ちゃんだった。


    ~麗奈side~

     「…麗奈。」

     声が聞こえる。

     誰の声かはわからないが、気絶から目が覚めた。


     脩司「麗奈。」

     麗奈「…!」

     そこにいたのは、死んだはずの脩司だった。

     まだ生きていたの…?

     私は警戒した。

     脩司「おい…!心配しなくていい、傷つけはしない。」

     脩司は、何か様子がおかしかった。

     何で…?さっきまで襲いかかってきたのに、今はそうでもなくなっている。

     脩司「今までずっと自分を抑えられなかったんだ…。」

     麗奈「どういう事?」

     自分を抑えられなかった…?どうして…?

     脩司「本当は殺したくなかった…。…紗由理だって同じだよ。娘の愛梨もだ。」

     脩司「…もちろん、諒もそうだ。」


     脩司「全てあの子が…、エヴリンがやったんだ。」

     麗奈「あの子は何なの?あなた達に何をしたの?」

     エヴリンって…、さっき私を黒い物体で襲いかかってきた、あの少女の事かしら…?

     私は、エヴリンが何者なのかを脩司に問いかけた。


     脩司「…あの子は妙な力を使い、俺達を感染させた。」

     脩司「あの子は、俺が沼地の船のそばで見付けたんだ。」


     脩司「…そこから全てが変わった。」


     麗奈「感染させて人を支配するの?」

     脩司「いや…、正確には違うな…。」

     脩司「あの子は…!無理矢理心に入り込むんだ。そうなったら…、もう抵抗できない。」

     脩司「一度あの子と繋がると…、自分の感情も抑えられなくなってしまい…!」

     脩司「その後はもう…、全くの別人になってしまう…。」

     麗奈「冬斗が送ったメッセージも、エヴリンの仕業って訳ね。」


     脩司「いいか、あの子は…、ただ自分の家族が欲しいだけだ。」

     脩司「エヴリンが鍵だ。いいな?お前ならあの子を…、止められるはずだ。」


     脩司「麗奈…、家族を自由にしてくれ…。お願いだ…。」

     そうだったのね…。

     脩司や紗由理、愛梨はただ殺したかったのではなく、エヴリンが脩司達を感染させたせいで、あのように襲いかかってきたのね。

     それに変異までした…。あれもエヴリンのせいで…。

     水島家は、幸せな毎日を過ごしてきたのね。

     それを壊したエヴリンを、放っておけない。

     幸せを壊したエヴリンを…、必ず止めてやる。

     脩司、紗由理、それに愛梨…、あの世で私を見守っていて。


     冬斗の声『エヴリンやめろ!お姉ちゃんから離れろ!』

     エヴリンの声『何で?こいつはお前を愛していない。私が愛させてあげようか?』

     冬斗の声『やめろ!お姉ちゃんに触るな!』

     エヴリンの声『麗奈を傷つけるのは私じゃないって言ったでしょ?』

     冬斗の声『お姉ちゃんに何かしたら…!』

     エヴリンの声『どうする気?お前はお兄ちゃんじゃない。そう言ったよね?』

     冬斗とエヴリンの声が聞こえる…。

     私…、生きてるの…?


    メキィッ…!

     麗奈「うっ…!」

    メキィッ…メキィッ…!

     麗奈「うぅっ…!」

     塊が剥がれる音が聞こえる。

     もしかして…!


     冬斗「くっ…!」

    メキィッ!

     麗奈「うぐぅっ…!」

     私は目を覚ますと、冬斗が悲しそうな表情を作り、私の身体を押して後退りさせた。

     麗奈「…!冬斗…、何でここに…!?」

     冬斗「時間がないんだ…!お姉ちゃんはあの子を探して!」

     冬斗「これを…、これを持って行って…!」

     冬斗から何かを受け取られた。

     下を見てるヒマなんてなかった。

    バタンッ!

     麗奈「ちょっと待って、何してるの?何のつもり!?」

     冬斗「お姉ちゃんを助けるんだ…!」

     冬斗「お姉ちゃんはここを出て…!もうこれ以上耐えれそうにないんだよ!」

     麗奈「やめて…!」

     冬斗「お姉ちゃんはあの子を殺して…!」

     麗奈「やめて…、ダメ…!冬斗…!!やめてーーーーッ!!」

     私は冬斗を呼び叫び、涙が止まらなかった。

     大切な弟が…、私のために…。

     私は啜り泣き、握り拳を作りながら、眉間にしわを寄せた。

     麗奈「このクソガキ…!どこに隠れてるのよ…!!」

     私はあのクソガキを…エヴリンを探した。

     水島家を感染させたうえ、冬斗にも被害をさせておいて…、もう怒りが抑えられない状態だった。

     殺す。

     エヴリンを殺して、全てを終わらせる。

     私の戦いは、まだ静まる事はなかった。

    【投稿者: リオン】

    あとがき

    冬斗君、無事でいてくれるのでしょうか…。麗奈お姉ちゃんは冬斗君に先へ行かせられ、エヴリンの追跡をします。水島家が襲ってきた本当の理由は、あの少女エヴリンが感染させ、操ったせいであのようになってしまったのです。水島家は、心優しい家族でした…。
    次回は「最後の悪夢」。つまりエピローグ、最終章となります。最後はどのように生き延びるのか。麗奈お姉ちゃんの最後の戦いが、ここから始まります。お楽しみに♪

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    コメント一覧 

    1. 1.

      20: なかまくら

      >私は目を覚ますと、目の前に冬斗が抱き締めていた。
      から、視点保有者が曖昧になってすごく読み辛くなってしまっています。
      どちらの行動をどちらが認識しているのか、よく分からない状態です。
      視点を変えるときには、誰の目線で物語が進行しているのか、気をつけた方がいいですよ~。
      エヴリンがすべて悪いんだ! というのもなんだか悲しいなぁ・・・。


    2. 2.

      リオン

      なかまくらさん》
      コメント・アドバイスありがとうございます♪
      やっぱりそう答えられるだろうなって思ってしまいましたw最初、この文章だと伝わりにくいかなと思い込んで、結構悩んじゃいましたね…。
      水島家は、エヴリンに操られていたせいで、麗奈お姉ちゃんや他の生存者を襲ったのです。共に苦しめられ、残酷な描写になってしまいましたね…。