水島家1

  • 超短編 3,246文字
  • シリーズ
  • 2017年07月22日 00時台

  • 著者: リオン
  •  気を失った私は、何者かに引きずられていた。

     仰向けのままで前方を見ると、私を殴った男性に引きずられていた。

     肩には冬斗が抱えられていた。


     「起きろ。まだ死んじゃダメだ。やってもらう事がある。」

     目を細めて開けると、切り落とされた左手がくっつけられていた。

     僅かにカチャカチャと音が聞こえる。

     誰かが助けてくれたの?

     私は再度気絶した。


     目を覚ますと、私は見知らぬ場所にいた。

     麗奈「ここはどこ…?どうなってるの…?」

     ???「ようやく起きましたか?寝坊助さん。夕食の時間ですよ。」

     私の前には、三人座っていた。

     さっきの男性、そして女性と少女が、私の周りを囲んでいた。

     男性が父親で、紫色の髪のロングヘアーで優しそうな女性が母親、茶色がかったポニーテールの少女が娘さんかな…?

     少女はニヤニヤしながら、皿に置かれた料理を私に投げ付けていた。

     麗奈「え…、誰、あなた達…、冬斗はどこ?」

    バンッ!

     女性がテーブルを叩き、何かを口に入れた。

     ???(母親?)「召し上がれ。美味しいですよ。」

     ???(娘?)「お馬鹿さんは何言ったってわかりゃしないよ!!」

     娘さんはそう言うと、皿ごと私に投げ付けた。

     ???(母親?)「愛梨、何やってるの?」

    ザクッ!

     愛梨「うああぁッ!!」

     愛梨「何すんだし!も~勘弁してよ親父~…。」

     ???(父親?)「おいどけ、紗由理。」

     娘さんが愛梨で、母親が紗由理。

     愛梨は男性に左手を切り離されていた。

     まるで、冬斗にチェーンソーで左手を切られた私みたいだった。

     ???(父親?)「好き嫌いはダメだぞ。夕食はちゃんと食わんとな。」

     ???(父親?)「さあ食うんだ。ちゃんと食わなきゃダメだぞ。食えよ。ほら、食うんだよ。」

     男性は料理を私の口元に差し出した。

     私は応じ、料理を食べると…。


     麗奈「…おあッ!!」

     不味い。

     何の味かわからなかった。

     気持ち悪さが混み上がってくる。

     紗由理「なんですかこのクソ野郎吐きやがりましたよ脩司さん!こいつ吐きやがりました!!」

     脩司「おいうるさいぞ紗由理!!」

     紗由理「せっかく作ってあげたのに!」

     脩司「お前向こう行ってろ!」

     紗由理「ああもう、なんですか!」

     紗由理「あのクソ野郎、許しませんよ!私がせっかく作ってあげたのに吐きやがって…!」

     紗由理は激怒しながら部屋を出ていった。

     それに、この男性は「脩司」という名前だった。

     脩司は料理を手にすると…。

     脩司「こいつは我が家にはとっておきのご馳走でな。」

     脩司「…わかるか?」

     脩司はそう言うと、唸りながら私に包丁を向けた。

     そして、どんどん私に近付いてくる。

     私はどうする事もできず、口の中に包丁が入り込まれた。

     舌や喉まで、私が嘔吐するまで脩司は包丁で私の口の中を切り付けた。

     麗奈「ゲホッ…!ゲホッ…!」

     喉から鉄や血の味がした。

     脩司「さあ行くぞ…!」

     脩司がトドメを刺そうとしたその時…!


    ジリリリリリ…!

     チャイムが鳴り響いた。

     愛梨「…ちっ、邪魔しやがって…。またあのサツが来たんだよ。」

     脩司「こんな時に…、クソが!」

     脩司「…すぐ戻ってくるからな。」

     脩司と愛梨が部屋を出ると、私は椅子ごと倒れ込んだ。

     さっきのチャイムで、助かったようだ。


     静かになった所で、私は廊下を歩く。

     曲がり角まで行くと、脩司が窓の外を覗いていた。

     そして…。


     脩司「まだディナーが終わってないのに出ていくつもりか?」

     見付かった。

     よく見ると、脩司はスコップを握っていた。

     それで叩き付けるつもりだ。

     私は一目散に逃げた。


     少し距離を離すと廊下の机の上に何かが置かれていた。

     鍵だった。

     札には、「床下」と書いてある。

     速攻で床下に続く部屋を探した。


     台所を抜けると、床に扉があった。

     きっとこれが床下だと私は一目散に扉へ向かい、鍵を使おうとすると…。


     脩司「この家に来るべきじゃなかったな、お嬢ちゃん。」

     見付かってしまった。

     肩を掴まれ、スコップで殴られた。

     そして…。

    ザクッ!

     麗奈「うああぁーーッ!!」

     スコップで足を刺された。

     左手のように、足も切り離された。

     脩司「可哀想にな。」

     脩司がそう言うと、私を弾き倒した。


     脩司「この薬でお前の足も治せるんだぞ。ほら頑張れよ。」

     脩司は床に瓶を置くと、私を誘った。

     足を治せるって事は、あれは回復薬…?

     私は這いずりながら、切り離された足を手にし、回復薬の方へ向かった。

     脩司「もう元気になったか?」

     私は足を着けて回復薬をふりかける。

     麗奈「…!ちょっと、嘘でしょ…!?」

     瞬時に足がくっつき、動くようになった。

     痛みも感じなくなった。


     脩司「どうした!さっさと逃げろよ!捕まえてやるぞ!!」

     床にスコップを何度も叩き付ける脩司。

     急いで床下に入ると…。


     脩司「…わかったよ。そこで縮こまってな。後で捕まえてやるからよ。」

     脩司は、私を見逃した。

     そして、向こうへ歩いて行った。

     これって、助かったって言えるのかな…?


     床下の通路の奥まで進むと、ランドリーらしき部屋に来た。

     ランドリーの扉の鍵を外し、部屋を出ようとした瞬間に…。


    プルルルルル…。

     ランドリーにあった電話が鳴った。

     きっと諒だ。

     私は、電話に出てみる事にした。

    ガチャッ


     諒(電話)『よくやった、麗奈。』

     麗奈「諒ね?あいつらは一体何なの?」

     諒(電話)『死にたくなかったら黙って聞いてくれ。その屋敷から出ないと。メインホールから出られるかも。』

     麗奈「…わかった。」

     諒(電話)『あと、腕のは「コデックス」っつうんだ。なくすなよ。大事なもんだから。』

    ガチャッ

     私の左腕には、いつの間にかコデックスという腕時計らしきものが着けられていた。

     コデックスは、画面の波線の色によって、自分の体力がわかるらしい。

     コデックスが着けられているうえ、左手首にはホチキスの針が留められていた。

     諒がやったのかな…?

     私は先程の指示通り、メインホールに行ってみるとした。


     麗奈(メインホールにはまだ入れないみたい…。)

     メインホールの扉には窪みが残されており、何かをはめれば扉が開く仕掛けになっていた。

     はめれる物がないかと、廊下を歩き回っている時…。

    ドンッ、ドンッ

     『おい、開けてくれ!』

     奥から声が聞こえた。

     私は声のする方へ行ってみると、窓の外に保安官さんらしき人がいた。

     麗奈「あの!助けてください!」

     保安官「ちょっと落ち着いて。」

     保安官「あんた、ここの人間なのか?つまりこの家に住んでるのか?」

     麗奈「私が?そうじゃない、違います!」

     保安官「そうか。実はこの辺りで失踪事件があったと通報を受けてね。」

     麗奈「それどころじゃない、ここから出たいんです!」

     保安官「まあ落ち着けって。」

     麗奈「私の話を聞いてください。この家のイカれた奴らに殺されそうなんです!」

     保安官「そうか。じゃあ言わせてもらうが…、そう言うあんたこそ、あんまりまともな人間には見えないぞ。」

     麗奈「ふざけないでください!」

     保安官「いいか、さっきも言ったが、この辺りで失踪事件が頻発しているんだ。」

     保安官「疑ってる訳じゃないが、あんたみたいなよそ者が関わってないとも、まだ言いきれないからな。」

     麗奈「わかりました。何でも話しますから…。」

     保安官「よし、わかればいいんだ。じゃあ、ガレージがあるだろ?そこで話そう。」

     保安官さんがガレージに向かおうと振り向いた瞬間…。

     麗奈「待って!その銃を貸してください!」

     私は保安官さんを止め、武器を貸してもらおうとした。

     保安官さんは嘲笑い…。

     保安官「あんたどうかしてるんじゃないか?」

     麗奈「あの…、保安官さん。」

     保安官補佐「保安官補佐だ。」

     麗奈「…保安官補佐さん、どっちがいいですか?私を新聞の死亡記事を見るのか。助けて、一躍ヒーローになるのか。」

     保安官補佐「…。」

     保安官…補佐さんは黙り込み、ポケットから取り出したのは…。


     麗奈「…ポケットナイフですか!?」

     保安官補佐「ああ。持って行け。これで十分だろ?」

     保安官補佐「ほら、さっさとガレージへ行け。今すぐ。」

     保安官補佐さんはそう言いながら、さっさと行ってしまった。


     麗奈「…ナイフでどうしろって言うのよ…!」

     私はイライラしながら、ガレージへ向かった。

    ~水島家1 end~

    【投稿者: リオン】

    あとがき

    3000字オーバーしちゃった…。
    書きたい事がありすぎてこの様です。(笑)
    次回は文字数を少なくしたいと思うので、お楽しみに♪

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    コメント一覧 

    1. 1.

      20: なかまくら

      ちょっとグロい・・・
      ゲームっぽい引きですが、ちょっとワクワクな展開ですね。


    2. 2.

      リオン

      なかまくらさん》
       コメントありがとうございます♪
      この小説はバイオハザード7のオリキャラ小説です。本家も結構グロいし怖いですが、バイオハザード好き
      なら楽しく読める作品でございます♪