会田「良く集まってくれた、卓球部の諸君」
尾藤「何の用だ、会田」
会田「今度の『新入生を迎え入れる会』で、やることを決めた。この学校の七不思議を紹介しよう」
椎津「また、勝手に決めるー!」
出井「で、なんで俺ら集められたの?」
会田「紹介するからには、まず、検証だ」
井伊「えっ、じゃあ、夜に集まる相談?」
会田「夜に、学校に入れるわけが、ないだろう」
江藤「じゃあ、どうすんの?」
会田「今、やるに決まっているだろう」
陣内「……今、昼間だよ」
会田「仕方なかろう」
椎津「あんた、夜の学校が怖いんじゃないの?」
会田は、椎津の方を、グルンと向いて、
会田「そ、そんなわけないだろう」
そのとき、尾藤がポンッと会田の肩を叩く。
会田「うっ、うわああぁああぁあっ!」
会田は、すさまじくビックリする。
出井「やっぱり、恐いんだ」
会田「とにかく、検証だ」
江藤「なにやるの?」
会田「まず、『何度数えても数が合わない階段』を検証する」
陣内「じゃあ、時間節約のため、全員で数えながら登るか」
全員足踏みをしながら、数を数える。
会田「1,2,3,4,5,6,7,8,9」
尾藤「ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、シックス、セブン、エイト、ナイン」
椎津「だ、る、ま、さ、ん、が、こ、ろ、ん、だ」
出井「ちゅうちゅうたこかいな」
井伊「パ、イ、ナ、ツ、プ、ル、グ、リ、コ」
江藤「子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥」
陣内「リンゴ、ミカン、イチジク、スイカ、イチゴ、サクランボ、ザクロ、ライチ」
会田「ちょっと待とうか!」
尾藤「なんだよ!」
椎津「分かんなくなっただろ!」
会田「いや、色々な数え方があるのは、分からなくもないんだが、あまりにも意味不明な奴が居なかったか?」
出井「そうか?」
井伊「じゃあ、一人ずつ言ってみる?」
会田「1,2,3……だけど」
尾藤「俺は、ワン、ツー、スリー……」
椎津「だ、る、ま、さ、ん、が、こ、ろ、ん、だ」
出井「ちゅうちゅうたこかいな」
井伊「パ、イ、ナ、ツ、プ、ル」
江藤「子、丑、寅、卯……」
陣内「リンゴ、ミカン、イチジク……」
他の全員「ちょっと待てー!」
陣内「は?」
尾藤「なんだそれ?」
陣内「いや、同中の奴らみんなそうだぞ」
椎津「んなわきゃねぇだろ!」
出井「次、行こうぜ」
会田「次は、『電源をつないでないのに夜中に鳴るオルガン』だ」
井伊「うさんくさいな」
会田「本当だって」
会田、足でペダルを踏みながら、オルガンを弾く真似をする。
江藤「会田、それ、『足踏みオルガン』だ」
会田「は?」
尾藤「足でペダルを踏んで、風を送って音を出すの」
会田「そうなの?」
陣内「俺の中学、全部それだったぞ」
椎津「おまえ、どこ中だよっ!」
会田「次は、『夜中に見ると年老いた自分の姿が映る鏡』だ」
出井「今、昼間だよ」
井伊「まぁ、一応、見てみよう」
江藤「バカな! 俺は、こんなに丸顔じゃない!」
陣内「なぜだ! 俺は、もっと足が長い!」
尾藤「せ、背が低く見える!」
椎津「目が二重じゃない!」
出井「こんなに太ってないぞ!」
井伊「……お前ら、バカだろう?」
会田「次は、『ひねると赤い液体が出てくる蛇口』だ」
江藤「よし! ひねるぞ!」
陣内「ぎゃーーーっ!」
尾藤「赤い液体が!」
椎津「……それ、赤錆でしょ」
会田「次は、『登った人が消える屋上への非常階段』だ」
出井「……この学校って、非常階段あったっけ?」
井伊「……ないな」
江藤「……次、行こう」
会田「次は、『必ず夜中の3時に鳴るチャイム』だ」
陣内「……おいっ、チャイムが聞こえないか?」
尾藤「そりゃ、今、昼間だから」
椎津「それで最後はなんだ?」
会田「これが、1番恐ろしいぞ」
出井「な、なんだ?」
会田「『6つしかないのに七不思議なこと』だーっ!」
他の全員「素直にネタ切れって言え―――!」