「…ねえ、黒沼?」
「あー?」
現在、アジト。
私は今、大屋軍幹部・黒沼と2人きり。
そんな中私は、黒沼にやってほしい事がある。
「ちょっとお願いしてもいいかしら?」
「何だよ?急に。」
「これなんだけどぉ。」
私は、1枚の紙を黒沼に見せた。
それは私が以前会った人物。
「それを松浦に見せてほしいの。」
「これって…、松浦の…?」
「ええ。そうよ。黒沼も死体は見た事あるでしょ?」
「まあ、ない事はねえが…。」
それは私が、ある場所へ襲撃した時の事。
確か…、8年前だったかしら?
あの頃の男女の叫び声…、まさに気持ちいいものだったわ。
「嫌なら私がやるけど?」
「いや、主将の大屋から頼まれたのなら、断る訳にゃいかねえ。引き受けるよ。」
「そう?じゃあ終わったらたーっぷり可愛がろうかしら?」
「…おい、俺を手下達みてえな扱いすんじゃねえ。」
あらあら、照れちゃって。可愛い♪
…さて、どんな反応するかしらね?
目の前で殺されたのだから、相当トラウマになってるでしょうね。
楽しみだわぁ…♪うふふ♪
《奈那美視点》
朝が迎えた。
昨日はかなり疲れたから、ぐっすりと眠れた気がする。
時刻は午前9時。
私は起き上がろうとするが、若葉が抱き着いてて起き上がれない。
「……。」
だがしかし、そんな若葉を起こす訳にもいかなかった。
昨日はお互い疲れたからね…。
「あぁぁぁあねきいぃぃぃぃぃいっ!!!」
「あぅ!?!?!?」
「んぅっ…!?」
私は突然の騒音で驚いた。
その騒音で、若葉も目を覚ました。
「もう!人が気持ち良く寝てたのに!」
「悪かったって!それより、朗報だ。」
「ん?何?」
騒音の主は涼介だった。
結構険しい顔して巣に入ってきたけど…。
「姉貴達んとこに行く時、劇場前通りでこれを見たんだ。」
涼介はポケットからスマホを取り出し、画面を見せた。
画面中央に再生ボタンがあるという事は、動画かな?
涼介はその動画を再生させた。
『歌舞伎町にいる皆さん、ご機嫌よう。』
動画には、劇場前通りにあるモニターの中に、見覚えのある人物が映り込んでいた。
それは今の事件の黒幕となっている…。
大屋佐江子だった。
『今から私からの報告があります。それは…。
この街を…、真っ赤に染める事!』
「…!?」
その言葉で、私の勘が走った。
大屋の目的は…。
人々を殺し、歌舞伎町を支配する事だ。
「あれ?ここで動画止まったけど…。」
「ああ。それなんだけどよ…。
実はこの時、突然大屋軍の手下が襲い掛かって来やがった。しかも2人。
全然どうって事なかったけどよ…。その時いつの間にか、周りは死体で囲まれたんだ…。」
「そんな…。」
「目に留まった隙に襲う…。大屋ならその作戦は立てかねないね。」
「ああ。正直、俺もそう思った。」
このままだと、本当に歌舞伎町が危険地帯となってしまう。
これ以上大事になる前に、大屋軍を黙らせなければならない。
「…何とかするしかないね。」
「ああ。俺達も黙ってられねえ。」
「3人で止めよう。」
多分これが、大屋軍との最後の戦いとなるだろう。
しかしそれは仮定であり、最後とは限らない事も有り得る。
大屋…、覚悟しとけよ。
あとがき
Chapter5開始致しました。この作品もそろそろラスト迎える頃なんじゃないかと思います。その辺りまできてます。
結構な時間空けてしまいましたが、なんとかここまで書けました。
今回のチャプター名は「狂い出す過去」。これはどんな物語でしょうか…。公開するまでご想像にお任せします。