裸の王様

  • 超短編 613文字
  • 祭り

  • 著者: でんでろmk2
  • 「陛下! 国王陛下!」
    「なんだね、騒々しい! 第3王子ペルシカ!」
    「いや、今は父上と呼ばせてもらうよ。父上、あんなインチキ仕立て屋の言うことを信じているわけじゃないでしょう?」
    「いや、私は信じているよ」
    「おとぎ話の世界ならともかく、この現代で、真に忠誠心のあるものだけに見える布なんてバカバカしいにもほどがある!」
    「なに? さては、お前、私に忠誠心が無いな? 皆、美しい布だと言っていたぞ! 新しい技術を信じぬ貴様こそバカ者だ!」
    「じゃあ、父上、なんで下着まで全部、同じ素材で作るように命じたんですか?」
    「そ、それは……」
    「あなたはただ、元号が変わる祝賀パレードで、全国民が見守る中で全裸で歩きたいだけでしょう!」
    「そ、そんなことはない……」
    「口でそんなことを言っても、全身が生まれたての小鹿のようにプルプル震えているのが何よりの証拠です!」
    「こ、これは、貴様が無礼だから、怒りで震えとるんじゃあ」
    「言い訳するなら、もう少し捻りが欲しいですね。見え見えです」
    「しかし、わしゃあ……」
    「とにかくダメです」
    ペルシカはピシャリと言い放つと王の間を出て行った。

    その後、パレード当日。
    「おい! ペルシカ王子がはだ……」
    「ペルシカ王子が全裸に見えるものは、忠誠心が無いとみなして牢屋にぶち込むぞ!」
    「ははーーーーーーーーーーーーーーー!」
    (くそうぅっ! あの役はわしのものだったのに!)

    王宮は少しごたついたが、国の平和は末永く続いたという。

    (おしまい)

    【投稿者: でんでろmk2】

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    コメント一覧 

    1. 1.

      howame

      前に大様の話を読んだときがあったけどどなたでしたっけ?けにお氏か?
      とんがり帽子です。


    2. 2.

      けにお21

      まず、国王や王子が登場したので、でんでろさんが時々使っていた事を思い出しました。

      しかし、でんでろさんは話の最後に、(おしまい)とは書かない方だった気がする。

      うーん、これは誰なのか、うーん、でもやはり、でんでろさんなのかな?

      超短文だし。
      しかし、でんでろさんなら、もっと展開速度は早く、連発ギャグをぶっ込んできて、畳み掛けたお話作りにしそうな気もする。
      では、誰だろう?

      あ! くそぅうが、ヒヒヒさんに見えてきたかも?

      まずいパンは冷やした冷蔵庫、でした。


    3. 3.

      なかまくら

      アノカネカラスです。血は争えないということですねー・・・恐ろしい国だ。
      >「なに? さては、お前、私に忠誠心が無いな? 皆、美しい布だと言っていたぞ! 新しい技術を信じぬ貴様こそバカ者だ!」
      の一文で、けにお氏であることを確信するのであった・・・。(おしまい)


    4. 4.

      茶屋

      コーヒー探偵なのです。チュー太郎は寝ています。
      短いながらに起承転結が入っていて、気持ちの良い短編でした。
      いつも思うのですが、でんでろ3さんかけにおさんで迷います。
      上のコメントに引きずられヒヒヒさんを推したいのです。