「道子、めぐり湯に水を汲みに行こう」
老いたとはいえ達者な母が言う。
「隆文とおいで」と母はもう歩き出している。
めぐり湯は実家から川沿いに10分ほど歩いたところにあるらしい。
そこで湧き出た水は不老長寿の水だという。
兄を呼んで水を入れるタンクをもって、車で出る。
なぜか歩いて先に出た母には行き会えない。
めぐり湯でタンクに水を汲みこんで、母を待つ。
母は寄り道でもしているのであろうか。
めぐり湯の施設には芝生の生えた庭と、ウォータースライドがあり、
子どもたちがはしゃいでいたりする。
「お兄ちゃん、お母さんをもっと大事にしてよ」
とかなんとか母と同居する兄に言っている。
しばらく待っても母が来ないので、家に戻ると母はやっぱりいないのである。
母はもう死んでから七年になる。また夢を見ていた。
コメント一覧
同居していないと、その不在が生活の中に入っていかないのかなぁ、と思いました。
寂しいような、そうでないような、よくわからない感情です。
なかまくらさんコメントありがとうございます。
末に生まれた私は父母に甘やかされ、時には母にこっぴどく叱られたりしながら、育ちました。
小さいときに母にべったりくっついていたので、私はすごく母から影響を受けました。
今でも母の真似をして生活しているなと思います。
いつまで経っても
母は優しい
初夏のなると
綺麗な蓮の花が咲くほとり
デスね。
鉄工所さんコメントありがとうございます。
亡くなってしまうと思い出すのはははのやさしい笑顔です。
母はいつも忙しくしていてすごい頑張り屋の人でした。ああは成れません。