私の部屋にはいつの頃からか、
見知らぬスーツケースがあって。
いつどこで誰から、
どうやって手にいれたのか。
いつ誰がなぜ、
ここにこのようにおいていったのか。
忘れてしまって思い出せない。
変な夢を見るようになった。
私はなにかいけないことをして、
なにか証拠を土に埋めている。
なにを埋めているのかわからない。
気がかりばかり増していった。
ある日近所を散歩していると。
あのいつもなにか、
証拠を土に埋めているあの場所、
そっくりの場所に出くわした。
掘りおこさずにおれなくなっていた。
真夜中スコップを手に、
掘りおこしに向かった。
穴にライトをあてた。
私だった。
私の死体だった。
ある日近所を散歩していると。
あの私が私の死体を掘りおこす、
あの場所そっくりの場所に、
出くわした。
掘りおこさずにおれなくなっていた。
真夜中スコップを手に、
掘りおこしに向かった。
穴にライトをあてた。
私の死体ではなかった。
札束のぎっしり詰まった、
スーツケースだった。
私の部屋にはいつの頃からか、
見知らぬスーツケースがあって。
中には札束がぎっしり詰まっている。
いつどこで誰から、
どうやって手にいれたのか。
いつ誰がなぜ、
ここにおいていったのか。
忘れてしまって思い出せない。
ある日近所を散歩していると。
あの札束のぎっしり詰まった、
スーツケースを掘りおこす、
あの場所そっくりの場所に、
出くわした。
掘りおこさずにおれなくなっていた。
真夜中スコップを手に、
掘りおこしにむかうと、
すでに何者かが、
掘りおこした後だった。
あぜんとしてたちつくしていた、
まさにそのとき。
背後に人の気配を感じ、
振り向きざまライトをあてると、
そこにはスコップを振りかざした、
私が。
遠のく意識。
持ち去られるスーツケース。
私の部屋にはいつの頃からか、
見知らぬスーツケースがあって。
中には私の死体がはいっている。
いつどこで誰から、
どうやって手にいれたのか。
いつ誰がなぜ、
ここにおいていったのか。
忘れてしまって思い出せない。
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