はづきさんは僕の年上のこいびとだ。とても可愛らしいひとであり、とても楽しそうに笑う人である。お酒が好きで、飲めば朗らかになりすぎる、朗らかになりすぎるから困る、それから、落ち込んだ時はとてもふかくふかくくらやみに舞い込んでしまう。そういった総体がはづきさんであり、そんな彼女を僕は好きだ。
ところで、はづきさんは魔法使いである。それを僕にベッドの上で打ち明けた。はづきさんらしい月の歩みのような口調でとても小声で打ち明けた。「わたし、じつはまほうつかいなのよ」と。いつもの冗談かと思い、ふうんと答えた僕にはづきさんはふくれた。ほんとうなのよ、そう言ってもういっかいふくれた。
しかしながら、かのじょはほんとうに魔法使いであった。
なぜならば、冬が訪れたあの日だ。ちかちかした雪降りの中で、研究室で彼女は
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ゆづきさんはとても可愛いひとであり、僕の年上の彼女だ。かのじょはとても楽しそうな声で笑うし、お酒が好きで楽しく笑う。それから、落ち込んだときにはとても昏い。そういった総体がゆづきさんであり、ぼくは、ほんとうに彼女のことがすきだ。愛してるといってもいいと思う。
でも、彼女は僕のことなどそんな欠片もない、彼女は露ほども僕のことなんか好きではない。ふざけんなとも思うが仕方がない、彼女のそのときの眼を見ていたらしかたがなくなる。なにせ、彼女は謎をあいしているのだ。
ところで、ここではそういったひとつの謎を開示しよう。それは、僕の研究室で起こった謎だ。
コメント一覧
はづきさんとゆづきさんですか。すこしコメントを書くのに困るけど、トランプを一枚めくってみたようなお話ですね。
以前にも書いたと思いますが、ちくたくさんの文章を読んだとき、私の好きな絵本作家である安野光雅さんを思いおこすことがあります。安野さんもトランプのワールドのような絵を描いたときがあると記憶してます。そういった意味でのトランプの世界です。決して悪い意味でトランプという言葉を使ったのではないことを説明させていただきます。なんか誤解を受けるようなコメントを書いてしまったと反省してます。
ご一読ありがとうございます。
> howameさん
いつも読んでいただいてありがとうございます。
書き手としては楽しんで読んでいただいた時間を楽しんでいただけたら幸いですし、そうでなければ今度はもう少し楽しんでいただくようにできればな、と努力しなければなので読んでいただいてありがとうございますという次第です。
個人的にはもうちょっと展開したいのですが、なかなか時間がなくて。。。
一度読んだときはうっかり見逃してしまいましたが、
はづきさんは、ゆづきさんに変わってしまったのですね。
季節のように変わる恋人は大変なのかも。
謎の多い男性になれたらもてるのでしょうか。いや、はづきさんにもてるかゆづきさんにもてるか選ばないといけなかったりして。なんて、妄想が膨らみますね。