「…ほら、これでおしまい。」
「くっ…。」
大屋との戦いはこの前もあったから、大体の動きは読めた。
大屋を薙ぎ倒し、私は大屋の腕を掴む。
「…ふんっ、それで勝ったつもりでいるの?」
「…は?」
大屋はそう言うと…。
ジャキンッ!
「…!危な!?」
突然、大屋は大型のナイフで切り付けてきた。
なんとか避けれたが、避ける衝撃で大屋の腕を放してしまった。
「そんな簡単に私を倒して、軽く腕掴んで勝ったようじゃ…、
あんたはまだ、私を捕まえる事を甘く見てるわ。握ってる感じが弱々しいのよ。」
「大屋…!」
くそ、腕力が足りないというのか。
でもそんな強くできる方法は見つからない。
「残念だったわね!また私を捕まえられなかった!これで2対0ね!!」
「…また私達が負けたんだね。」
「それと西園寺、今回は見逃してあげる。次はあんたの命がないと思いなさい。」
「……。」
大屋はそう告げ、さっさと行ってしまった。
「…涼介。」
「…!」
「大屋と、どういう関係なの?」
私は怒ってる訳ではないが、険しい表情をしてるだろうな…。
でも、さっきの発言がどうしても気になる。
「…それを今から話す。巣に行ってから説明するよ。」
そうして私達は、巣へ向かう事にした。
現在、私の巣。
ここで涼介についての話を聞く。
「…あんたの知ってる事は全部話してもらうよ。
あいつとはどういう関係なの?」
涼介は下を向いたままだが、口を開く。
「…これだけは話しておこうかと思ってな。」
「ん?」
涼介から出てくる言葉…、しっかり聞いてあげるとしよう。
「…俺さ、姉貴達と出会う前は、ある軍団に入ってたんだ。
それは姉貴も若葉も知ってる軍団だ。」
私と若葉が知ってる軍団…、思い当たる節は…。
「もしかして…、大屋軍?」
「…ああ。そうだよ。」
…やっぱりそうか。
だから涼介は、大屋と面識があったのか。
「じゃあ今は大屋の命令で、私達を始末しろと?」
問題はそれ。
もしかすると、涼介は大屋の命令を聞いて、松浦軍に入ったのかもしれない。
「いや、別にそういう訳じゃねえんだがよ。何の命令も聞いてねえ。」
「…え?」
命令を聞いてない?じゃあ何故大屋とは面識があるのだろうか?
そして、涼介は話を続けた。
「俺はな、大屋軍から脱退したんだ。」
「…脱退…?」
大屋軍から脱退。
つまり、大屋軍の手下になる事を辞める。大屋軍から抜けたって事になる。
「ああ。俺が大屋軍に所属していた時の事を、今から話すけどな。
…長くなるけど、いいか?」
「うん。」
それで涼介の事がわかればそれでいい。
じっくり聞いてやるとしよう。
「俺が大屋と最後に話したのは、1ヶ月前ーーー。」
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