「あ~、食った食った~。」
夜更けを迎えた。
ちょっと遅くなっちゃった。人もだんだん少なくなっていく。
「そういえば涼介はどうする?このまま私の巣に寝泊まりする?」
「んー、それは流石にまずいから遠慮しとくわ。俺ぁどっかで休める場所探しとくよ。」
「ふふっ、そっか。」
「んじゃ、また明日な。」
そう言うと、涼介は向こうへ歩いていった。
「さて、明日に備えて休もう。」
「そうだね。」
…まだまだ距離は遠い。
何だか、嫌な予感がする。
何者かに見られてる?
そんな気配がする。
昼間と同じ気配。
でも、若葉は気付いてない。
「ねえ若葉…。」
「ん?どうしたの?お姉ちゃん。」
「なんか…、視線感じない?」
「え?また?」
もしかして、私にしか見えない謎の視線が迫ってるの?
「うん。気のせい…じゃないと思う…。」
「ひょっとしてお姉ちゃん、疲れてる?
なんか、言っている事が変だよ?」
「そうなのかな…。」
若葉からそう言われるけど、何だか落ち着かない。
とりあえず、警戒した方が良さそう…。
《若葉視点》
さっきから、お姉ちゃんの様子が変だ。
「視線を感じる」…。どこからなんだろう?
私はそんなのは全く感じていない。
私はとりあえず、「疲れてる」とはぐらかしてるけど…。
本当に誰かに見られてるのかな…。
そう思うだけで、背筋がゾクッとしてきた。
《奈那美視点》
嫌な予感が続いていく。
それうえ、街の様子も変だ。
まだ日付が変わってないのに、人がいない。
どういう事だろうか?
ここは東京。それに歌舞伎町。
普通なら、夜でも賑やかになっているはず。
でも今は違う。
まるで寂れたように、人が全然いない。
するとその時ーーー。
「グワァッ…。」
「…!」
「…お姉ちゃん?」
「今…、声が聞こえた…。」
「声…?」
本当に若葉は気付いてないのだろうか…?
若葉はキョロキョロと辺りを見回す。
「ちょっとお姉ちゃん、怖い事言わないでよ…。」
「本当にわからないの?若葉…。」
「わかんないよ!早く巣に帰ろう!」
急ぎめで若葉は歩き出した。
どうなんだろう…?やっぱり若葉は気付いてるのかな…。
「グワァッ…!」
「…!」
また、声が聞こえた。
私達の見えないどこかで聞こえてくる。
そう思った直後…。
ガシャアァッ!!
「危な!?」
突然、近くに積んである木箱がぶっ壊れた。
奥に何かいる…!
「グワァッ…!」
「…!何あれ…!?」
ようやく正体を現した。
その姿は、まるで怪物のような人間だ。
表現しにくいけど…。
「わからないけど…、普通の人間ではない事は確かだね。行くよ!」
私はそう言うと、鬼薙刀を構える。
相手の武器は…、ハンマーか?
当たったら骨折じゃ済まない。
やってやる…!
「アァッ…グワァッ…!」
ようやく倒れた。
狂ったような動きをしていて、攻撃を避けるのに少し手こずった。
「何だったんだろ…、あれ…。」
まあ確かにあの感じからして、普通の人間とは思えない。
何と言っても、見た目はかなりグロテスクだ。
「多分これは…、
…大屋からの洗礼かもね。」
「…え?」
「今回のこの件、全部大屋と関わっているに違いない。
お姉ちゃんはそう思ってる。」
「……。」
…月が薄黒い雲に隠れる。
何とも不気味だ。
「大屋は、お姉ちゃん達の見えないどこかで、こう言ってる。
ここから始まるのは、今みたいな暗い夜…。
「暗夜」が始まるんだって。」
「…暗夜…。」
辺りは闇に包まれているように暗い。
ここから毎日、このような夜が来ると思う。
大屋に勝つまで…、暗夜は終わらないーーー。
~Chapter3 暗夜 END~
コメント一覧
やばいクスリ💊があるようですね・・・。
バイオハザードみたいな感じがしてきました。
ズバッと切ってほしいです!!