ザシュッ!
「うぐっ…!」
なかなか手強い敵だった。
なんとか撃たれずに済んだけど、油断したらひとたまりもない。
「銃使いのアサシン」って所かな。
「へぇ…、なかなかやるじゃねえか…。大屋の言っていた通りだな。」
「大屋から聞いて勝負を仕掛けてきたの?」
「…それ以外何だってんだ。
今まで一人残らずバンバン撃ってた俺が、まさか負けるとはな…。」
「…そう言って、私を殺すまで終わらないんでしょ?」
多分大屋との勝負を終えるまで、こいつらもいずれ私に挑み続けると思う。
まあ、あくまで私の勘だけどね。
「なんだ、もうわかってんじゃねえか。ま、予想されなくてもそのつもりだったんだがな。」
「……。」
「今回は見逃してやる。でも次は、今回のように行くとは思うなよ。」
黒沼はそう告げて、瀕死状態の手下達を連れて退散した。
死んだ手下は置いて行ったけど、もう用無しって事かな?
「なんかさ、初めて姉貴とこうやって手ぇ組んだ気がするな。」
「…今更?」
「さっきは雑魚相手だったが、あんな大物相手は初めてだよ。」
「まあ、言われてみればそうだね。」
「それにしても…、また1人敵が増えちゃったね…。
お姉ちゃん、どうする?」
若葉からそう質問された。
そんなの決まってる。答えはただ一つ。
「もういっその事、黒沼も始末するしか方法はないね。」
「…姉貴ならそう言うと思ってたよ。」
「何その最初から知ってたみたいな感じ。」
「へへっ、俺はなかなか姉貴の事知ってるだろ?」
「うん、意味わかんない。」
そんなくだらない会話中、若葉が割り込んできた。
「…今日はもう遅いから、明日また探しに行こうよ。
私、今日はもう疲れちゃった…。」
若葉の言う通り、もう日は暮れている。
安定したと思い込んだ人達が次々と歩いているのがわかる。
「そうだね。それじゃあ巣に戻ろっか。」
「姉貴。」
「ん?」
「せっかくだし、どっか飯食いに行かね?」
「は?何でよ。」
「いやー、ちょっとな。でもいいだろ?俺達初の晩餐って事でさ。」
突然涼介から提案された。
そういえば、この3人でご飯食べる事なんてなかったな。
「別にいいけど、どこにするの?」
「それは姉貴が決めてくれ。」
「はあ?言い出しっぺは涼介でしょ…。」
「もし姉貴が苦手なもんあったら困るだろ?選択権は姉貴に譲るよ。」
「まあ別にいいけどさ…。」
まあ、苦手な物は酸っぱい食べ物だけだから、そんなに多くはないけど…。
「ここにしよっか。」
私達が着いたのは、「満天魚介帝国」。
いわゆる回転寿司屋だ。
「ここは…、お寿司屋さん?」
「うん。最近気に入ったんだ。」
「へえ、いいじゃねえか。楽しみだ。」
そう言うと、私達は中に入る。
「それじゃ、松浦軍結成記念として!」
「もう結成からだいぶ時間経ってるけどね。」
「う、うるせえ!とにかく続けるぞ!」
私達が今からやるのは、松浦軍結成記念という事で、乾杯をする事。
…まあ、水だけどね。
「記念として、乾杯!」
それぞれのコップを当てる。
一番早く飲み干したのはやっぱり涼介だった。
「ちょ、早すぎでしょ。」
「戦いの後だからな。ちょっと水取ってくるわ。」
そう言うと涼介は立ち上がり、水を取りに行った。
ここの寿司屋は水を取るのはセルフである。
「お姉ちゃん。」
「ん?」
「今のお姉ちゃん、すごく楽しそうだね。」
「え?そう?」
涼介が水を取りに行っている間、若葉がそう口走った。
まあ、今は楽しいと言ったら楽しいかな。
「涼介君が松浦軍に入った頃からかな。
ずっと一匹狼で生きてきたお姉ちゃんの元に、私を含めて2人も仲間ができたんだから。」
「……。」
言われてみればそうだ。
私は若葉と涼介と出会うまで、ずっと1人だった。
そうなり始めたのは、私が10歳の頃。
助けられる宛もなく、孤独な日々を8年も過ごしていた。
そんな中私はあの下水道に、あの巣を作り始めた。
そこなら安心して過ごせるって…、そう思ったのだけれど…。
「まったく、若葉はお姉ちゃんの何もかもを知ってて怖くなってきたよ。」
「えー?何でよー。」
「でも、若葉がそう言えるのは、それほどお姉ちゃんの事を見てるって事だよね?
若葉はずっと、お姉ちゃんの背中を見てたもの。」
「んー、そうなのかな?」
自覚なしかい。
まあでも…、本当に可愛いなぁ。若葉は。
「さ、お腹空いたでしょ?沢山食べていいよ。」
「うん!」
コメント一覧
ぜひ人物紹介の文章をもうちょっと描写に混ぜてください(苦笑
黒沼くんのお手並み拝見! と思った瞬間に終わっていました。
次回は奈那美の過去エピソード回でしょうか??