Chapter3 暗夜③

  • 超短編 1,744文字
  • シリーズ

  • 著者:退会済み
  • ザシュッ!
     「うぐっ…!」
     なかなか手強い敵だった。
     なんとか撃たれずに済んだけど、油断したらひとたまりもない。
     「銃使いのアサシン」って所かな。
     「へぇ…、なかなかやるじゃねえか…。大屋の言っていた通りだな。」
     「大屋から聞いて勝負を仕掛けてきたの?」
     「…それ以外何だってんだ。
     今まで一人残らずバンバン撃ってた俺が、まさか負けるとはな…。」
     「…そう言って、私を殺すまで終わらないんでしょ?」
     多分大屋との勝負を終えるまで、こいつらもいずれ私に挑み続けると思う。
     まあ、あくまで私の勘だけどね。
     「なんだ、もうわかってんじゃねえか。ま、予想されなくてもそのつもりだったんだがな。」
     「……。」
     「今回は見逃してやる。でも次は、今回のように行くとは思うなよ。」
     黒沼はそう告げて、瀕死状態の手下達を連れて退散した。
     死んだ手下は置いて行ったけど、もう用無しって事かな?

     「なんかさ、初めて姉貴とこうやって手ぇ組んだ気がするな。」
     「…今更?」
     「さっきは雑魚相手だったが、あんな大物相手は初めてだよ。」
     「まあ、言われてみればそうだね。」
     「それにしても…、また1人敵が増えちゃったね…。
     お姉ちゃん、どうする?」
     若葉からそう質問された。
     そんなの決まってる。答えはただ一つ。


     「もういっその事、黒沼も始末するしか方法はないね。」
     「…姉貴ならそう言うと思ってたよ。」
     「何その最初から知ってたみたいな感じ。」
     「へへっ、俺はなかなか姉貴の事知ってるだろ?」
     「うん、意味わかんない。」
     そんなくだらない会話中、若葉が割り込んできた。
     「…今日はもう遅いから、明日また探しに行こうよ。
     私、今日はもう疲れちゃった…。」
     若葉の言う通り、もう日は暮れている。
     安定したと思い込んだ人達が次々と歩いているのがわかる。
     「そうだね。それじゃあ巣に戻ろっか。」



     「姉貴。」
     「ん?」
     「せっかくだし、どっか飯食いに行かね?」
     「は?何でよ。」
     「いやー、ちょっとな。でもいいだろ?俺達初の晩餐って事でさ。」
     突然涼介から提案された。
     そういえば、この3人でご飯食べる事なんてなかったな。
     「別にいいけど、どこにするの?」
     「それは姉貴が決めてくれ。」
     「はあ?言い出しっぺは涼介でしょ…。」
     「もし姉貴が苦手なもんあったら困るだろ?選択権は姉貴に譲るよ。」
     「まあ別にいいけどさ…。」
     まあ、苦手な物は酸っぱい食べ物だけだから、そんなに多くはないけど…。


     「ここにしよっか。」
     私達が着いたのは、「満天魚介帝国」。
     いわゆる回転寿司屋だ。
     「ここは…、お寿司屋さん?」
     「うん。最近気に入ったんだ。」
     「へえ、いいじゃねえか。楽しみだ。」
     そう言うと、私達は中に入る。


     「それじゃ、松浦軍結成記念として!」
     「もう結成からだいぶ時間経ってるけどね。」
     「う、うるせえ!とにかく続けるぞ!」
     私達が今からやるのは、松浦軍結成記念という事で、乾杯をする事。
     …まあ、水だけどね。
     「記念として、乾杯!」
     それぞれのコップを当てる。
     一番早く飲み干したのはやっぱり涼介だった。
     「ちょ、早すぎでしょ。」
     「戦いの後だからな。ちょっと水取ってくるわ。」
     そう言うと涼介は立ち上がり、水を取りに行った。
     ここの寿司屋は水を取るのはセルフである。

     「お姉ちゃん。」
     「ん?」
     「今のお姉ちゃん、すごく楽しそうだね。」
     「え?そう?」
     涼介が水を取りに行っている間、若葉がそう口走った。
     まあ、今は楽しいと言ったら楽しいかな。
     「涼介君が松浦軍に入った頃からかな。
     ずっと一匹狼で生きてきたお姉ちゃんの元に、私を含めて2人も仲間ができたんだから。」
     「……。」
     言われてみればそうだ。
     私は若葉と涼介と出会うまで、ずっと1人だった。
     そうなり始めたのは、私が10歳の頃。
     助けられる宛もなく、孤独な日々を8年も過ごしていた。
     そんな中私はあの下水道に、あの巣を作り始めた。
     そこなら安心して過ごせるって…、そう思ったのだけれど…。

     「まったく、若葉はお姉ちゃんの何もかもを知ってて怖くなってきたよ。」
     「えー?何でよー。」
     「でも、若葉がそう言えるのは、それほどお姉ちゃんの事を見てるって事だよね?
     若葉はずっと、お姉ちゃんの背中を見てたもの。」
     「んー、そうなのかな?」
     自覚なしかい。
     まあでも…、本当に可愛いなぁ。若葉は。
     「さ、お腹空いたでしょ?沢山食べていいよ。」
     「うん!」

    【投稿者: 2: アズール021】

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    コメント一覧 

    1. 1.

      なかまくら

      ぜひ人物紹介の文章をもうちょっと描写に混ぜてください(苦笑
      黒沼くんのお手並み拝見! と思った瞬間に終わっていました。
      次回は奈那美の過去エピソード回でしょうか??