「ぐふっ…!」
「まだやる?」
「クソが…!」
そろそろ限界って感じ?
「メロンパンが欲しかったら、このコンビニにこだわらずにあちこち店を回ってこい。」
「くそ!覚えとけよ!!」
…あ、逃げた。
それにしても…、お店の人に迷惑かけちゃったかな…。
「すみません、さっきは表で騒いでしまって…。」
「いえ、大丈夫です。幸い彼もいなくなった事だし…。」
「とりあえず、お会計お願いします。」
「若葉~、ただいま~。」
「う…ん…?」
巣に戻って若葉を呼ぶと、若葉は目を覚ました。
まだ眠そうなとろんとした目に、私はちょっと可愛いと思ってしまう。
「朝食買ってきたよ。ほら。」
私は買ってきた甘酸っぱレモンブレッドとレモンティーを袋から取り出した。
「ん…、レモン…。」
「まったく、相変わらず寝ぼけがすごいんだから…。」
レモンブレッドを取ろうと、眠い目を擦りながら手を伸ばす。
物を欲しがる赤ちゃんみたいで、物凄く可愛い。
本当に、若葉は癒しって感じ。
「どう?目は覚めた?」
「うん。レモンのおかげでね!」
「ふふっ、レモンは若葉の元気の源だね。」
若葉はいつもレモンを食べるとご機嫌になる。
なんか、そういう二次元の人物がいた気がする。
「そういえばお姉ちゃん、殺人事件の件だけど…。」
「ん?」
「もうニュースになってるって、知ってる?」
ああ、なんだ、その事か。
「それはもう若葉が知る前に知ったよ。」
「ふぇ?」
「若葉が起きる前からそのニュースは見た。
だって若葉その時、猫みたいに寝てたもん。」
「……///」
ん?そこは赤面する所なのかな?
まあいいや。可愛いし。
「お姉ちゃん、やっぱり大屋を追うの?」
「…当たり前でしょ?放っておいたらこの歌舞伎町が危なくなるだけだよ。
そんな場面見るより、自分達で何とかするしかない。私はそう思うよ。」
「……。」
大屋の件…あそこで起きた殺人事件が、大屋の目的とは限らない。
大屋は他にも人を殺すだろう。私はそう考えている。
あの時私と若葉が挑んだ時も、普通の人間とは思えない動きをしていた。
あんなのを放っておいたら、たまったもんじゃない。
「…本当にいいんだね。お姉ちゃん。」
「ん?」
「後悔はしない?」
「……。
…後悔だったら、やるだけやった後にするよ。」
「…そっか。」
「何で?」
「いや、聞いてみただけ。
お姉ちゃんがそう言うなら、私は止めないよ。
でも私も、できるだけお姉ちゃんをサポートしたいから。」
「…ふふっ、頼りにしてるよ。」
さて、そうと決まれば大屋を追う所から。
でもいきなりは無理だから、何か居場所がわかるものがあればいいんだけど…。
「うぅ~ん!あぁ~…。」
若葉は外に出ると、大きく背伸びをする。
…薄々気になってたんだけど…。
『お姉ちゃん…、結構胸元膨らんだ?』
『…は?』
『お姉ちゃん身長も伸びたし、胸元も…。』
『…ちょっと、それはここで話すものじゃないよ。』
『えぇ、だって気になるじゃんか。』
昨日の事を思い出してた。
「胸元が膨らんだ」…。その言葉で気付いたんだけど…。
…若葉もそうなんじゃないかな?まだ私のより小さいけど…。
…て考えたらなんか興h…。
「ん?お姉ちゃん、どうかした?」
「え?あ、いや、何でもないよ。」
「ふぅん…。」
危ない、バレる所だった。
昨日その事を話したばかりだから、からかわれる所だった。
若葉は甘え上手であり、からかい上手でもあるからなぁ…。
下手したらすぐにからかわれる。うん。
お姉ちゃんは大変なんです…。
グシャッ!!
「!?」
『う、うわあぁーーーーーっ!!!』
「何!?」
「……。」
どこからか、鈍い音がした。
街中で叫び声がどこもかしこも聞こえてくる。
さっきの音が聞こえた方へ行くと、何かで潰れたような死体があった。
「お姉ちゃん、あれ!」
若葉が奥の方へ指を差す。
そこにいたのは、何やら武装した2人組だった。
「あれは…!?」
見た感じ、いかにもヤバそうな雰囲気が漂っている。
1人はハンマーを持ち、もう1人は長刀を持っている。
多分さっきの死体は、あのハンマーの奴にやられたものだと思う。
私は、足を前へ運び出す…。
「お姉ちゃん…?」
「行くよ。若葉。放っておいたら危険が広がる。」
「……。」
もう覚悟は決めている。
街を守るためなら、死んだっていい。
「あ?何だてめえ。」
「さっきの人殺したの、あんたでしょ?」
「…あ?」
私は睨み付けながら、彼らにそう問い出す。
「…やっぱり。そんな事だと思った。
なら尚更あんたらを始末した方が良さそうだね。」
「こいつ、何モンだ?」
「さあな。だが、殺しておいた方が良さそうだ。」
彼らはそう言うと、武器を構える。
これは…、鞘から刃を出した方が良い相手かな?
「お姉ちゃん…。」
「…普段は刃出してないけど、こいつらは違う。
あっちが殺す気なら…。
こっちも同じ手だ!!」
さあ、やってやろうか。
死とはどういうものかを味わせてあげるーーー。
コメント一覧
残念、メロンパン男は仲間にならなそうですね。
ところで、
>街を守るためなら、死んだっていい。
というくらいの覚悟、どこから来たのか気になりますね。