新しい元号
NHK
「あーあー、聞こえますか？私は天皇です。皆様に大事なお知らせがあります。私は長年、日本国の象徴として天皇を頑張ってきました。しかし、もう歳です。クタクタです。そろそろお暇させていただきたく、今回こうして発表することにしました。天皇を辞めます。いや、天皇を卒業します。皆様、今までお付き合いありがとうございました。そして、さようなら。」
テレビ画面から、和かに手を振る天皇陛下。
「おっと。一つ言い忘れていました。新しい元号を考えてあります。私天皇が考えた新しい元号は・・うっ、ぅ」
天皇陛下は突然、しかめっ面になると、胸に手を当て、机にうつ伏せになった。
テレビ画面は、白黒の縦シマに切り替わり、ただ今調整中です、の文字が表示された。
テレビの生放送中に、倒れた天皇はそのままお亡くなりになられた。
日本国は混乱を避けるため、取り敢えず皇太子を新しい天皇にすることにした。
NHK
「あーあー、聞こえますか？私は本日、皇太子から新しい天皇になりました。日本国の象徴として、務めてまいりますので、これから、どうぞよろしくお願いします。」
テレビ画面から、笑顔で手を振る新天皇。
「あっと！ 忘れておりました。新元号でした。決めなければなりません。パパは、いや前天皇はテレビで新元号を発表するつもりでした。しかし、前天皇は発表前に・・・うっ、う」
涙ぐみ・むせぶ、新天皇。
新天皇は、机の上のコップの水を、グビグビッと飲み干した。
「はーはー、失礼しました。つい前天皇のことを思い出し、涙しました。話を戻しましょう。そう、元号。残念ながら、私は前天皇より新元号名を聞いていません。なので、分かりません。なので、知りません。ただ、前天皇は、国民の皆さま、が幸せになるように、と常日頃から願っておりました。きっと、前天皇は皆さまが幸せになるような元号を考えていたに違いありません。この点は確信しております。エッホン！」
新天皇は、喉に何か詰まったのか、大きく咳払いをした。
「えー、前天皇の願いと思いを汲んで、先ほど私が新元号を作りました。今から、この場で私が新しい元号を発表するので、皆さま、心して聞いてください。前天皇の熱い思いを聞いてください。」
神妙な顔つきの新天皇は静かに、瞼を閉じた。
二分後。
クワッ！
強く目を開いた新天皇は開口した。
「新しい元号は『子愛（こあい）』。子供は国の宝。子供を愛しなさい。そうすれば、国は永遠に幸せになる。」
ドヤ顔の新天皇は、言葉を続けた。
「えー。子愛。実はこの元号には、もう一つ意味があります。もう一つ、重大な思いが込められています。あっ！コレ言っていいのかな？まあ、いいでしょう。前天皇はママを、いや前皇后を誰よりも愛しておりました。前天皇は、美智子前皇后を一番に愛しておりました。いわゆる、美智子LOVEでした。美智子愛してる。つまり、子愛であります。新しい元号には前天皇の二つの気持ちを込めてあります。美智子愛してる、と、ついでに国民が幸せになるように、と言う思いと願いです。さあ、新しい時代、『子愛』の幕開けです。共に歩みましょう！」
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