寒さに凍える少女が名案を思いつかない話。

  • 超短編 492文字
  • ジョーク

  • 著者: 尾長
  • 寒い、このままでは凍死してしまう。
    暖を取る為の道具を売っていながら、飢えて凍え死ぬなんて冗談にもならない。
    あぁ、いっそ身売りしてしまおうか。
    私は知らぬ男に好き勝手にされている間、一体何を考えるのだろう。
    暖かいシチューか、暖炉の近くの揺り椅子で本を読むことか、大好きだったおばあちゃんのことか。
    いけない、いよいよ弱気になってきてしまった。地に落ちかけたプライドを再び取り戻す。
    水商売なんて、真っ平御免だ。
    …。
    ……いや、まてよ。
    意外といい案かもしれない。「水商売」というのはいい案かもしれない。
    私はマッチを持っている。
    マッチは火を起こす道具だ。
    火は恐ろしい。瞬く間にひろがり燃え盛る。
    火を消すためには「水」が必要だ。
    そこでだ、私は「水商売」をすればいいのだ
    手近な家に火を放ち、皆が慌てたタイミングで「水」を売るのだ。
    皆、こぞって水を買い、火を消そうとするだろう、何しろ火というのは瞬く間にひろがる。
    皆この狭い街で家事が起きて自分自身が被害に遭うことは避けたいのだから。
    さしずめ私はマッチポンプ売りの少女…フフ、くだらない…。私はそう自嘲しながらマッチに火をつけた。
    無論暖をとるためである。

    【投稿者: 尾長】

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    コメント一覧 

    1. 1.

      ヒヒヒ

      私はこの少女にバケツを売りたいと思います。何しろ水というのは重いものですから。ふふっ(なんだ


    2. 2.

      なかまくら

      では、私はヒヒヒさんに底を売りたいと思います。何しろバケツというのはそこが必要なものですから。ぬフフ。
      あっ。カッコイイタイトルが似合う小説って難しいですよね〜。