サンタが与えたもの ~ season2 ~ 第七夜

  • 超短編 589文字
  • シリーズ

  • 著者: 3: 寄り道
  •  ここからは後日談なのだが、肩を撃たれた枡野は一命を取り留め、背中を刺された黒井は出血多量でこの世を去った。
     枡野が入院しているときに、事情聴取が行われ、昨年、交通事故の原因は黒井であること、これはのちに、過失運転致傷で今もなお刑務所で暮らしている中井俊樹に確認を行った上、事実であることが立証され、さらに彼氏である栗栖を殺害したことは、枡野が撃たれた銃弾と栗栖が撃たれた銃弾が一致したため、その当時の黒井の足取りを追って、被疑者死亡の上、書類送検となった。
     枡野は、銃で撃たれたことにより、黒井の殺害は正当防衛と判断され無罪となった。
     しかし、銃で撃たれた肩は、半月も経たない内に癒えたものの、心に大きな傷を負ったため、精神科へと移り、今もなお療養中である。

    「なあ、こんな結末を望んで、儂にあんな願いをしたのか?」
    「そんなはずないだろう」
    「でも、あの男が死んで良かったのではないか?これで心置きなく、成仏・・・」栗栖はサンタクロースを睨みつける。「できるわけないよな」
    「当たり前だろう」
    「でもまあ、今年のクリスマスもあと少しで終わりじゃ。また来年な」
    「来年も会ってくれるのか?」
    「もうこうなったら、最後まで付き合ってやるよ」
    「ありがとう」
     サンタクロースにお辞儀をし、顔を上げると、もうサンタクロースの姿はなかった。
     また1年、彼女を見守りながら、過ごすことになった、栗栖聖也であった。  了

    【投稿者: 3: 寄り道】

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