彼女の家に行くと、彼女はベッドで寝ていた。
黒井の姿はなかった。
少しうなされながら目を覚ました彼女は、ベッドから起き上がると徐に、ベッドの下を捜索し始め、1つの箱を取り出し、蓋を開ける。
そこには、栗栖聖也と撮った沢山の写真やプリクラが詰まっていた。
その写真やプリクラを1枚1枚眺めていた枡野の目から、涙が零れた。
「私、とっても大事なことを忘れていたんだ」
すると、玄関のドアノブがガチャリと回り、黒井が姿を現した。
その姿を見た枡野は、壁際まで後ずさりをした。
「どうした。そんなに怯えて。怖い夢でも見たか?」
何も話さない枡野。
床に散らばった、栗栖聖也との写真を見て「全部、思い出したのか?」と黒井が枡野に話しかける。
頷く枡野。そして「今日まで色々としてくれたことは感謝するけど、もうあなたとは別れたの。だから、出て行ってくれる?」そう言い放った。
「これからどうすんだ? 栗栖聖也もいなくなった今、お前一人だぞ」
「いなくなった?それどういうこと?」
しまったという顔を浮かべた黒井だったが「去年のクリスマス、俺が殺した」
「え!なんで」
「お前とこうして、よりを戻すために」
「私が交通時事故に遭い、記憶を失くし、好都合が続いたってこと?」
「交通事故は俺の差し金だけどな。まあ、記憶を失くしたのは、好都合だったな」黒井は笑った。
この一部始終を見ていた栗栖は、驚愕の事実を知った。それと同時に、枡野も。
「交通事故もあなたなの?」
そうだ。交通事故の犯人は捕まった、差し金とは一体なんのことだ。
「俺の知り合いに、金を出して、やってもらったんだよ」
枡野は無言で、黒井をじっと見つめていた。
「まあ、お前ともまたセックスできたし、このまま未練たらたらなのも、俺の性分じゃないし」そう言って台所の戸棚を漁り「お前も死んでもらうか」と、銃口を怯える枡野に向けた。
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