もうすぐ始まる

  • 超短編 527文字
  • 同タイトル

  • 著者: ミチャ寺
  • 「みなさん。いよいよ明日が運動会です」

    * * *

    みんなワクワクしながら朝倉先生の話を聞いている。それが運動会への期待から来るものなのか、もうすぐ帰宅できることから来るものなのかは分からないが、視線が一点に注がれている様子をは団結したように見えて面白い。
    先生もそれが嬉しいのか、笑顔で言葉を続けた。
    「明日の本番に向けてしっかり休んでもらいたいので…
    なんと、今日の宿題はひとつだけ!今晩は早く寝て、明日元気に登校してください!」
    おおぉ、と歓声が上がり、先生は得意げにしている。
    小学校に入学して早半年、これまでこんな事があっただろうか。
    明日は運動会。練習に練習を重ねた成果を発揮する特別な日。
    家に帰ってもそのドキドキは止まらない。夕飯の食卓にはトンカツが並んだ。
    「幸希が明日頑張れるようにね」
    母が言うには「カツ」と「勝つ」をかけたエンギモノらしい。イマイチよく分からなかったが、激励の気持ちは嬉しかった。
    言い表しようのない特別感は、夜になっても溢れるように湧いていた。
    この目を閉じ、眠りについたあかつきには、もう特別な1日は始まってしまう。
    そう思うと緊張して中々寝つけなかったが、唯一の宿題故、ぎゅっと目を閉じた。
    夢の先に、今宵の先に。特別な1日が
    もうすぐ 始まる。

    【投稿者: ミチャ寺】

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    コメント一覧 

    1. 1.

      けにお21

      明日の運動会が「もうすぐ始まる!」を強く感じました。

      子供のころ、僕もそうだったかも。


    2. 2.

      なかまくら

      もうすぐはじまる! というわくわくは前日から始まるんですよねぇ
      そして、なかなか眠れないんですよね(笑


    3. 3.

      ヒヒヒ

      明日が楽しみで眠れない。あぁ、そんな時代があったなぁ(遠い目)
      そのトンカツを、いつか懐かしく思い出す日も来るんだろうなぁ。

      ……シャレたこと、たぶん寝ようとした瞬間に思いついたりしますよ(謎予言


    4. 4.

      でんでろmk2

      「祭りは始まる前が一番楽しい」
      って言いますからね。