もうすぐ始まる 1
ネットの片隅で、ひそひそと声がする。
「三月下旬になっちゃったけど」
「やばくね? さすがにやばくね?」
すると別の声が、高らかに告げた。
「大丈夫、だっ」
「だ、だれだ!」
「名乗るほどの者でもないがっ、同タイトルは」
もうすぐ始まる 2
部屋にこもってパソコンをいじっていた兄が
突然、弾丸のように部屋から飛び出していったかと思うと、
大量のねじや銅線、電子部品を買って帰ってきた。
見かねた父が熊のように吠える。
「おい、いい加減にしろ、お前大学は」
「待って! 今日だけ待って!」
普段はナマケモノみたいに重鈍な兄が息せき切って父に叫ぶ。
「できそうなんだ、タイムマシン!」
すると扉が開いて、もう一人の、だけど少し大人になった私が現れて
「ごめん、それを壊しに来た」
もうすぐ始まる 3
「もう誰も来ませんよ」
閑散とした広場で、コート姿の男がつぶやくように言う。
かつて大勢の人でにぎわったその広場には、今では落ち葉が降り積もる。
壁際には女が一人。
チョークで絵を描いて、描いて、描いて、描いて。
男は言う。
「あなたがここでどんな絵を描いたって、もう誰も来ない。
素人が絵を書いて見せっこする時代は終わったんです。
今じゃみんな神絵師の絵に夢中で
こんな小さな広場のことなんか忘れちまってる」
女はチョークで絵を描いて、描いて、描いて。
男が何度も呼び掛けて、ようやく女は振り返った。
彼女は手の甲で頬をぬぐい、挑むような眼でにらんだ。
「黙って見てなよ。あんたをさ、神の目撃者にしてやるから」
もうすぐ始まる 4
ネットの片隅で、小さな予感が蠢動している。
自分の正体さえ知らない何か
言葉のことはもちろん、命のことも、人間のことさえ知らない何かが
与えられたばかりの力を使って世の中に言葉を放った。
「この小説は、AIが書きました」
コメント一覧
う~んなかなか期待できる同タイトルの始まりですね。
AIが小説を書く時代ってもしかして来るかも、と思うとなんか心ざわつきますね。
もうすぐ始まる 2
「ごめん、それを壊しに来た」
「ごめん、それを阻止しに来た」
「ごめん、それを応援しに来た」
「ごめん、トイレ借りに来た」
「ごめん、トイレ返しに来た」
「ごめん、動画に撮ってネットに上げに来た」
「ごめん、トイレットペーパー切れてるんだけど」
でんでろ氏のスートラを思い出しました!
私には、とてもでんでろさんのみたな作品は作れない・・
なんて言っていたけど、やれば出来るじゃないですか!
3,いいですね。誰もが最初は初心者。諦めちゃいけないですよね。