白い砂浜の端に膝を抱えて、打ち寄せる文字を眺めている。
黒い水。手を差し入れると、手のひらにいくつかの文字が残る。
愛
勇気
どうにも使いづらい。手のひらに文字を載せて波を待つ。波が愛と勇気をさらって、代わりに別の字が残る。
フォーマルハウト
事象の地平線
意味が分からない。ため息をついた。
小説を書くことができれば、退屈な毎日がちょっとは面白くなるのかもしれないと思って、この砂浜にやってきた。
だけど打ち寄せる文字は、どれもこれもよくわからないものばかり。
どうして世界はこんなに平坦なのだろう、そうぼやいたとき、一つの文が打ち上げられる。
これがお前の心の中だ。
打ちのめされた。
コメント一覧
書こうとすると、自分の内側を暴かれますよね。
かっこつけようとしてもダメで、そんな感じがうまく表れている感じがします。