悲劇のヒロイン

  • 超短編 305文字
  • 日常

  • 著者:
  • 「この、悲劇のヒロイン気取りめ。」

    その時、相手が何を言っているのか
    よく分からなかった。

    悲しい時に悲しいと言って
    何が悪いのだ。

    辛い時には泣いていいと言ったのは
    みんなじゃないか。

    辛いんだ、泣いちゃダメなのか。
    痛い、痛い、やめてくれ。

    ああ、どうも許してくれないみたいだ。ごめんな、涙腺。


    そして、幾年たって、少し歳をとって

    僕は、やっと意味がわかりました。
    ありがとう、僕に言ってくれた
    あの言葉のおかげで僕は

    今、普通の人間として生活してるよ。

    でも僕は、今の方がなんだかあの時よりもっと辛いや。

    みんなこれをあの子供の時からずっとやってたんだよね、凄いな。

    我慢するって、大変だなぁ。


    やっぱり僕は、みんなと何かが違うみたいです。

    【投稿者: 傘】

    一覧に戻る

    コメント一覧