食べる、食べる

  • 超短編 271文字
  • 日常

  • 著者:1: 3: ヒヒヒ
  •  かつて

     家の側を流れる川で捕った魚を、焚火の周りに並べて焼く。植物で葺いた屋根の下、家族みんなで火を囲みながら、明日の狩りの話や、昔話に花を咲かせている。


     いま

     電子レンジで温めたコンビニ弁当を、テーブルにおいて蓋を取る。ディスプレイの上を流れていくたくさんのつぶやきを眺めながら、スマホで友達にメールを送る。


     いつか

     助手席のカバンから固形食糧を取り出して、賞味期限も見ずに封を切る。ながら運転をとがめる人はもういない。旧式の車が無人の都市を進んでいく。


     どれだけ時代が変わっても、人は食べることをやめられない。いつか滅んでしまうまで、きっと、きっと。

    【投稿者:1: 3: ヒヒヒ】

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    コメント一覧 

    1. 1.

      けにお21

      昔の食事は団欒で食べるものだったのでしょうね。

      今、コンビ二弁当食べながら、スマホいじっている人多そうですねー
      味気ない食事ですよね。ただ腹を満たすためだけのような。

      未来は、固形食糧になってるのかあ。もっと味気なーい。

      ただ僕もカロリーメイトにはまっていた時期がありますよー


    2. 2.

      なかまくら

      食べていることは変わらなくても、食べるとは、周りを含めて食べること、そんな気がしました。


    3. 3.

      ヒヒヒ

      けにおさん>時代が変わるにつれ、食事の形も変わっていきますよね。将来、食事の価値がもっと減っていくのか、それとも新しい形が出てくるのか……。
      カロリーメイトがマイブームです。栄養的にはどうなの、とは思いつつ(苦笑

      なかまくらさん>そこなんです。たぶん、みんなでワイワイと食べる食事は、一人で食べる食事とは何か別のものなんだろうな、と漠然と思っていて。

      感想ありがとうございます。


    4. 4.

      鉄工所

      この先は、スマートウォッチから定量点滴になり、飲みと言う行為だけになるかも知れません。
      僕にとっては昭和の定食屋さんの料理を作る音がご馳走です(微笑


    5. 5.

      でんでろmk2

      昔の貴族は、腹がいっぱいになると、無理矢理吐いて、また、食べ続けたそうです。

      いつか、口からのカロリー摂取に意味がなくなったとしても、遊びとして食物摂取という行為は残りそうです。


    6. 6.

      ヒヒヒ

      鉄工所さん>食事もどんどん簡易化が進むかもしれないですね。いずれ腕に張るシートだけになったりして。
      あぁ、いいですね、料理をする音も味わいです。

      でんでろさん>貴族の行動、今の価値観からすると割とあれですが、当時は自然な行為だったのかもしれませんね。
      おっしゃる通り、味を楽しむ食物や料理店は残りそうです。高級な娯楽になったりして(笑

      感想ありがとうございます。