アクリルの宇宙で

  • 超短編 391文字
  • 日常

  • 著者: 20: なかまくら
  • 「UFOキャッチャーってよ」
    驚いた。目の前でクレーンのアームに首根っこをつかまれたグレイの宇宙人が、突然しゃべり出したのだ。
    「攫われるゲームなんだよ」「あ。」
    アームが力なく、落とす。
    「おーい」
    宇宙人は喋らない。ただ、眼差しは感じた気がして、コインを追加する。楽しげな音楽とともに、アームが再びターゲットに接触する。宇宙人は、大人しく腕をぶらーんと提げてこちらを見る。
    「俺が落ちてきてからもうどれくらい経ったかな・・・気が付いたら、此処にいた。此処以外での生き方など、最早分からないのさ」
    クレーンが今度はしっかりと宇宙人を運んでいく。
    「君はすごいな、行くのかい。生きていく覚悟が決まったんだな」
    宇宙人はストンと消滅し、声だけが残った。
    音楽が戻ってくる。
    馴染んだスティックから手を離すと、アクリルガラスに半透明の自分の姿が映る。
    洗い立てのスーツが宇宙服のように、ふわふわと浮かんでいた。

    【投稿者: 20: なかまくら】

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    コメント一覧 

    1. 1.

      ヒヒヒ

      UFOキャッチャーの景品に意識があったら••••••面白いアイデアですね!
      僕らにはただ『積まれてる』だけしか見えないけど、実は様々なやり取りがあったりして笑
      と言いながら振り返ってみると、僕らもアクリルのアクリルのガラスに囲まれていたりして••••••
      400字で書くと取捨選択の難しさと面白みが出てきますね!


    2. 2.

      けにお21

      ユーホーキャッチャーで生の宇宙人を吊る、と言う発想が面白かったです。

      しかし、景品から話しかけられるとビックリしますね~


    3. 3.

      なかまくら

      >飛火疲さん
      感想ありがとうございます。そうなんですよね、我々もまた大きな視点から見たら、ただ、積まれているのかもしれません。そういう発想って、短編の王道って感じがしますね。

      >けにおさん
      感想ありがとうございます。短ければ短いほど、発想の勝利になってしまいがちですね。それが良いのか悪いのかは難しいところですね。