紗由理の変異

  • 超短編 1,448文字
  • シリーズ

  • 著者: リオン
  •  諒(電話)『どうだ?血清は見つかったか?』

     麗奈「あなたの母親と虫に襲われたのよ。何で言ってくれなかったの?」

     私はキレ気味で諒に問いかけた。

     諒(電話)『…悪かったよ。で、血清は?』

     麗奈「いや、まだよ。でも作る材料ならわかったわ。」

     麗奈「D型被験体とかってやつの…、頭と腕らしいわ。」

     先程アタッシュケースに入っていた、血清の作り方を私は諒に話した。

     諒(電話)『頭?頭なら俺が持ってたと思う。』

     麗奈「本当に?」

     その被験体の頭は、どうやら諒が先に持ってたらしい。

     諒(電話)『でも腕の方はわからない。旧館は全部調べたか?』

     麗奈「いや、まだよ。2階を調べてみるわ。」

     諒(電話)『それじゃあ、探してみてくれ。見つけたらトレーラーで会おう。』

     諒がそう言うと、電話を切った。

     D型被験体の腕…。簡単には見つけられなそうだけど…。


     私は紗由理と戦った所へ戻ってみる。

     ぽっかり穴が開いた床下を覗くと、先程の黒い液がなくなっていた。

     それに、紗由理の姿もない。

    ガサゴソ…!

     穴の中に空洞があり、中に何かが動いている。

     麗奈「今のは何…?何かいる…?」

     恐る恐る空洞に足を踏み入れた。


     奥まで進むと、地上へ通じる梯子があった。

     上ってみると、外に出た。

     私はそこから、まだ調べていないグリーンハウスへ行った。

     扉は開いたままだ。


     私は警戒心を持ちながら、グリーンハウスの中の階段を上る。

     すると…。


    ドガシャアッ!

     麗奈「…!!」

     紗由理「ホラ、私トオイデナサイナ。モウ終ワラセヨウジャアリマセンカ…!」

     窓から、様子がおかしい紗由理が突き破って出てきた。

     しかも、手足や髪が尋常じゃないくらい長くなっている。

     声もあの美声から醜い声と変わっていた。

     気味が悪い。

     あの空洞にいたのは、もしかすると紗由理かもしれない。

     紗由理は私の足を掴み、引きずり込もうとした。

     私は抵抗し、紗由理の顔面(目や口の辺り)にハンドガンを撃ち抜いた。


     何発か撃つと、紗由理は怯み、手を離した。

     すると外へ飛び出し、どこかに行ってしまった。


     紗由理がいない隙に、私はグリーンハウスの中を調べた。

     息を弾ませながら、私は隅から隅まで探索する。

     紗由理「捕エチャイマスヨ!」

     麗奈「…!!」

     しばらく経った途端、紗由理が天井から降りてきた。

     四つん這いにもなった紗由理は、まるで蜘蛛のような姿だった。

     私は攻めまくる…!


     紗由理の声『ヴヴゥ″ゥ″…!』

     奥から紗由理が呻く声が聞こえてくる。

     そっと私は近付いてみると…。

     麗奈「…!」

     紗由理が壁に張り付き、何かを産もうとしていた。

     壁に張り付いた物体の中から出てきたのは、旧館にいた大きな虫だった。

     もしかしてあの虫は、紗由理が産卵させたの…?

     そうとしか、思いようがなかった。


     長時間長い戦いが続いていく。

     バーナーで燃やすに続いて、ハンドガンを撃ち抜く。

     それを何回も繰り返した。

     そして…。

     紗由理「ヴア″ァ″ァ″ァ″ァ″ア″ッ!」

    パキパキパキ…!

     雄叫びを上げた紗由理に、白い塊が紗由理を包み込む。

    カラカラ…

     そして、紗由理は無惨に粉々になった。

     脩司も倒し、紗由理も倒した。

     水島家の両親は、共にあの世へ逝かせた。

     麗奈「…もう生き返ってこないで。」

     私はそう告げる。

     こんな奴はあの世で暮らせばいいものの、私はそう思い込んで悲しくなりそうになった。

     …自業自得よ。


     粉状になった紗由理の中から、ランタンを拾った。

     これは多分、天秤に使うのだろうと思い込み、私はさっさとそこへ向かった。

     もしかすると、天秤の先の部屋に、D型被験体の腕があるかもしれない。

     それを予想して、私は颯爽と歩き始めた…。

    【投稿者: リオン】

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    コメント一覧 

    1. 1.

      なかまくら

      やー、ちょっと、どんな話か忘れてしまいました・・・(汗
      久し振りに書くときは、これまでのあらすじを入れてもらえるとありがたいです^^
      紗由理は、パパに比べてあっさりだったなぁという印象でした。
      物語は最終局面に向かっているのでしょうか。