※プロローグ2の続きです
冬斗の声が耳を通った瞬間、私はすぐに部屋を出た。
すると、冬斗の姿がどこにもない。
辺りをよく探してみると、なかったはずのドアが現されていた。
少し進んだ所に階段があり、地下を抜けた。
外は大降りの雨であり、何故だか真っ暗。
私は奥に進もうとすると…。
『ヴアアァ…!』
後ろから呻き声が聞こえた。
しかし、声が聞いたことがあると、私は感じた。
地下を抜けた階段を降りてみると…。
ギシッ…、ギシッ…。
階段が軋む音が聞こえる。
何かが…、来る…!
冬斗「ヴアアァ…!!」
その呻き声、そして私の前に現れたのは…。
様子が変わった、弟の冬斗だった。
冬斗「ヴヴヴゥッ!!」
バッ!
麗奈「きゃあぁっ!!」
ドタンッ!
私は冬斗に吹き飛ばされ、壁に背中を強打し、床に視線を落とす。
再度、冬斗の方へ振り向くと…。
冬斗「ヴアアァッ!!」
麗奈「…!!」
冬斗は包丁の刃先を私に向けて睨んだ。
そして私は自身を冬斗に倒され、冬斗は何度も包丁を私に切り付ける。
ザクッ!
麗奈「うぐぅ…!!」
冬斗の暴走を抑えようと手のひらを向けた私は、左手を串刺しされた。
骨まで貫通され、痛い。
冬斗が包丁を抜くと、私の左手から血がボタボタと流れ落ちる。
私は起き上がると、再度冬斗は私を襲い掛かった。
麗奈「冬斗、待って!ダメ!!」
私は喚いても、冬斗は応えはしなかった。
険しい顔で睨み、何度も包丁を私に刺すだけだった。
私はやむを得ず、冬斗の手首や顔の左半分を掴み、抵抗した。
冬斗はそれを振りほどく。
そして、私の顔前を刺そうとした。
麗奈「くっ…!!」
包丁の刃を素手で受け止める私は、彼の睨んだ顔に目を離さなかった。
よく見ると、冬斗の瞳は充血しているように、真っ赤に染まっていた。
ザクッ!
麗奈「うぐぅ…!」
包丁が肩に刺さり、私は自分の手のひらを覗いた。
手のひらには、赤黒い血が無惨に残っていた。
私は冬斗を見ると…。
冬斗「声が聞こえる…!」
冬斗は拒絶していた。
冬斗「あの子が、僕の体の中に戻ってこようとしてる…!!」
冬斗「やめろ、出ていけ!僕を一人にして!!」
冬斗は泣き叫ぶように声を上げると、自分の頭を壁に叩き付けた。
まるで、何かの病気に侵された者のようだった。
冬斗「僕が悪いんだ。当然の罰だよ…。」
冬斗はそう言って壁に頭を叩き付けると、その場で倒れ込んだ。
麗奈「冬斗…、何でこんな…!」
私は倒れた冬斗をじっと眺めた。
すると…。
バッ!
麗奈「うわっ…!」
冬斗「僕に構うなッ!!」
バギギィッ!!
冬斗に壁の奥まで吹き飛ばされた。
壁はボロボロに崩れ、私は壁の破片の下敷きになりそうだった。
冬斗「くたばれえぇッ!!」
冬斗は包丁を握り、私に襲い掛かろうとした。
私はなんとかしようと辺りを見回すと、近くに手斧があった。
私はすぐに手斧を持つと、速攻で冬斗を切り付ける。
包丁よりは切れ味が良いが、当てれるのは簡単ではない。
私は冬斗の腕を掴むと、手斧を持ってる右手に拳を作り、抵抗しながら冬斗を殴り付けた。
しかし、これだけでは全然足りない。
抵抗を弾くと、私と冬斗は互いに襲い掛かる。
ザクッ!
私は、冬斗の首元に手斧を串刺しにした。
冬斗の首元には、無惨に血が吹き出していた。
…冬斗は、手を差し伸べて倒れた。
プルルルルル…。
どこからか電話の音が聞こえる。
地下の前に電話があったので、私は掛けてみると…。
???(電話)『ここに来るんじゃなかったな。』
麗奈「誰…?一体何が起きてるの…?」
諒(電話)『俺は諒。屋根裏から逃げられる。』
麗奈「屋根裏…?」
諒(電話)『今すぐ行け。早く!』
ガチャッ
諒という男性が、屋根裏に行けと私に命令をかけた。
私は命令に応じ、屋根裏に行こうとすると…。
麗奈「冬斗…?」
冬斗の死体が、いつの間にか消えていた。
私は屋根裏に行こうと、廊下を歩いていると…。
バッ
麗奈「…!」
冬斗「お姉ちゃん、安心して。大丈夫、僕だよ。」
死んでいたはずの冬斗が、隣の部屋から出てきて、私の腕を掴んできた。
冬斗「傷つけるつもりはなかったんでしょ…?」
冬斗は腑抜けたような声で話し掛けると…。
ブンッ!
バタンッ!
冬斗「よくもやりやがったな!このクソ野郎が!!」
私の腕を振りほどき、壁に叩き付けた。
瞳が真っ赤に染まり、様子が変わった冬斗に戻ってしまっていた。
冬斗「お前も味わいやがれ!」
ザクッ!
麗奈「うああぁッ!!」
冬斗は私の左手に、ドライバーを矢のように貫き刺した。
私の左手は、尋常じゃないくらいの痛みが走り続けた。
冬斗はドライバーを刺し終わった後、向こうへ歩いた。
ガチャガチャガチャ…!
向こうから機械らしき音が鳴り響く。
すると…!
冬斗「ねえ、どう?今どんな気分か教えてよ。」
冬斗の両手には、チェーンソーが握られていた。
私の左手を切るつもりだ。
私は必死にドライバーを抜こうとするが、なかなか抜けない。
しっかりと奥まで刺されていた。
そして、私は冬斗が近くまで来た途端、ようやくドライバーが抜けた。
しかし…。
ヴイイィーーーンッ!!
ザクウゥッ!
麗奈「うああぁーーッ!!」
退けるのに間に合わず、左手を切り落とされてしまった。
左手首から、大量の血が吹き出す。
痛い。
走り続く痛みが、身体中まで広がった。
私は切り落とされた左手を拾い、左手首を抑えながら屋根裏に向かった。
屋根裏部屋を探してみると、ハンドガンが一個残されていた。
麗奈「よし、これで…!」
これさえあれば、チェーンソーを受けずに冬斗を止められる。
私は覚悟を決めた。
奥にもう一つの部屋があった。
奥には、外へ通じる梯子が一つ残されていた。
片手だけだが、私は梯子を登ろうとしたその時…!
ヴイイィーーーンッ!!
チェーンソーの音が聞こえた。
扉が無惨に崩れ、チェーンソーを持った冬斗が入ってきた。
冬斗「いつも僕を見ていた。どうして!?」
冬斗の様子がおかしい。
何を言っているのかわからなかった。
私は急いで部屋を出る。
少し奥まで待ち伏せすると、冬斗はチェーンソーでドアを無惨に切り落とした。
バンッ!
私はハンドガンで、冬斗の頭を一発撃ち込んだ。
冬斗「お前の同情なんかいらない!」
冬斗「さっさと家に帰れ!!」
冬斗はそう言いながら、私に襲い掛かった。
少し胸元を切られたが、こんなのどうって事はない。
痛みなんて気にしない。
死を覚悟して、私は冬斗を何発も撃ち込んだ。
すると、冬斗の動きが止まった。
冬斗「お姉ちゃん…、大好き…。」
バタッ…。
冬斗は、再度倒れた。
大好きな弟をこんな姿にさせるのは、不幸中の慈悲だった。
私は冬斗に近付こうとすると…。
???「お前も「家族」だ。」
バコッ!
麗奈「うあッ!」
見知らぬ男性に肩を掴まれ、顔面を殴られた。
冬斗と並んで倒れた私は、どうする事もできなかった。
男性は私の上で足を上げると…。
バコッ!
私を踏み潰した。
私は、気絶した。
弟も助ける事もできなかった。
罪悪感が、ここで増してしまった。
ごめんね、冬斗…。
こんなできこそないお姉ちゃんで…。
冬斗…、大好きよ…。
~プロローグ end~
コメント一覧