夏の微睡み

  • 超短編 1,431文字
  • 作りかけ作品を完成に!

  • 著者: 1: 9: けにお21

  • 無機質なエアコンが効いている
    油蝉のしみ込むような…ミンミン蝉も三重奏


    外は未だ暑そうだ
    夏は少しかし開けない雨戸で暗い部屋、今日はもう半日以上は寝ているか?

    眠い…


    微睡みに入るかの途中で
    夢か?…だな、記憶にない

    陽炎の登るアスファルトの道
    洋風の白い壁がエーゲの様だ

    「ブルル…」バスの音

    麦藁帽子に大きい浮き輪
    ビキニの上の伸びたタンクトップ、
    カーキ色のショートパンツはキュッとして、でも…何故か白いサンダル


    天色の空に白の肌
    長い黒髪は何時の頃だろう

    お昼時はアジアンレストランから吹いた風は、ほんのりとコブミカンの香り

    坂の下は、ギラキラする夏の太陽
    いや…水面輝く銀色の海


    その水面に
    睡魔がふっとエアコンの風が涼しくて…


    Zzz


    ヘアバンドとかあったね
    リボンのデッカいの頭の上

    横すわりなバスの向こうの席に座ってる、お嬢さんがね


    あぁ サザンの頃
    水中眼鏡何で不恰好なやつで
    海パンも長めのトランクが漸く出た頃…グラサンとかね。


    あの頃の汗は
    しょっぱかったね
    頬伝う




    原付の免許を取る前は
    バスだったね。

    僅かに電車
    未だ改札は切符切りのおじさんがね
    いたね。


    ビーチボールが西瓜でさ
    ビート板なんてものあったね


    自販機はもちろん瓶で
    栓抜きだったね

    ああ~ライターでも開けたっけ
    「シュポン」蝉は一瞬止まる鳴き声
    気持ち冷たかったね


    中古のクルマから新車になる頃は
    麦 と バーベキューだったね~

    もう、泳がない.まあ飲むからね

    麦藁帽子で黒髪の少女は
    ソバージュになり小麦色


    少年も真っ暗から、小麦色
    潮焼けか脱色かでこげ茶の髪に
    デッカいラジカセね


    蝉のいない海は
    こんな奴られで賑やかな
    夏休み


    あのギラギラした海は変わらない
    いや…

    zzz

    目が覚めると、そこは見知らぬ部屋であり、壁には真夏の海の絵が飾ってあった。

    俺は、ベットからと立ち上がると、壁に掛けかけてある絵に見入った。
    この絵、どこかで見たが、いまいち思い出せない。
    微睡んでいるためか、寝ぼけているためか、現在見知らぬ部屋にいる不安は一切感じなかった。そんなことよりも、この絵が気になった。

    簡素な白色の額にはまった絵は、細部にまで細かく描かれており、海の手前の道にはバスがあり、最後部の座席にはリボンのでっかいヘアバンドを付けた少女が座っていた。

    はてこの少女、どこかで見たような。

    少女の年齢は10歳ほどだろうか、そして少女は大きなナタで抱えて座っていた!

    少女はこんな大きなナタを持ち、バスに乗り、いったいどこに向かい、何を刈るつもりだろうか?

    バスは絵の端っこにあるバスの停留所らしき位置で止まった。
    中から家族連れや、カップルが大勢降りて来た。みんな浮袋やボールなどを手に持っている。
    今から海水浴だろうな。とても楽しそうだ。

    最後尾に座っていた不思議な少女も、ゆっくりとした足取りで降りて来た。
    バスはドアをしめると、静かに去っていった。

    少女は白のワンピースに、白いサンダル、でっかいリボンのヘアバンド、そして手にはナタ?
    少女は、他の乗客たちが向かった奥の海とは逆方向の手前に向かって歩き出した。

    少女は歩く。
    この少女は海に行かずどこに向かうのか?
    不可解であった。

    少女はどんどん歩く。
    少女はどんどん大きくなる。

    気が付くと、白い額縁のキャンバスいっぱいが少女になった。

    少女は見ている。
    少女は見ている。
    じっと見ている。

    何を見ている?

    「みーつけた!」

    少女は探し物がみつかったのか、笑みをこぼすと、手に持った大きなナタをこちらに向かって振り下ろした。

    その時の俺は微睡んでいて、とても眠かったのだ。

    おわり

    【投稿者: 1: 9: けにお21】

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    コメント一覧 

    1. 1.

      鉄工所

      西瓜だったんですね。

      いや…ありがとうございます
      こうして一つにして見ると
      以外と細部まで書き込んだ自分に気がつきます

      だからこそ、後が書きずらいのかな?とも
      もう少し線を細くして
      幹を書かないといけないと気付かされました。

      ご協力に感謝致します!


    2. 2.

      けにお21

      楽しめました!

      苦労したのは、まず最初、年始に開催されるお祭りの偽装のように、鉄工所さんテイストで書き足そうとしたことでした。これがナカナカ上手くいかなかったのです。

      また、ストーリーの流れに沿って、続けて書くことも難しかったです。
      一旦話を切って、仕切り直すことにしました。この手法については、ひとえに逃げ、かなとも思うw

      さて、仕切り直しをし、自分テイストで書き足す方針に切り替え、あとは、どこに焦点を合わすか?

      真夏の海、微睡み、バス、でっかいリボンのヘアバンドなどのワードを拾うことにしました。
      三題噺のように、仕上げることにしました。

      また、ワードである「微睡み」、を上手く組み入れると、いい感じで仕切り直しが出来ることに気付きました。

      ここまで方針が決まると、あとは割と簡単に作ることが出来ました。

      苦労した分、作り終えた達成感がありました!

      また、気にされている細かい描写については、むしろワードを拾うのに役立ちました。お気になさらずとも、大丈夫と思います!


    3. 3.

      鉄工所

      納屋を整理してて、最近 鉈 の用途がないなと思っていたらここでしたね。
      長刀鉾 出ないところがキュートでしたw

      さて、テイストは呼吸ですから難しいですよね、またストーリーの流れも停滞したから未完成だったとも言います。

      ある意味、仕切り直しで風穴開けてくれた感「ナルホドその展開ね〜」が爽快でした

      そうですね、素因数分解などと言う学術をふと思い出しました。

      微睡みがブレてないところが流石でした!!


    4. 4.

      けにお21

      いえいえー、ありがとうございます!